ひろの東本西走!?

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DIVE(ダイブ)!! 1~4(森絵都)-1

2006-10-17 00:25:00 | 16:ま行の作家

DIVE(ダイブ)!! 1~4(講談社)
★★★★☆:90点

Dive1 Dive2

第135回直木賞受賞作家・森絵都さんの素晴らしいスポーツ青春小説です。文庫本も出ていますが、私はソフトカバーの単行本で読みました。感想を1回では書ききれないと思うので、表紙画はまず1と2をアップ。

そらさんのブログ:日だまりで読書 でも高く評価されています。素晴らしい感想なので、私が新たに書き加えることはあまりなさそうですね。

1~4を通じての感動度は、かの名作「バッテリー1~6」(あさのあつこ)のそれを上回るかもしれません。また、1~4がうまく起承転結になっていたように思いました。

 1:知季編 ダイヤモンドの瞳を持つ知季の目覚め
 2:飛沫編 津軽の野生児・飛沫が抱える苦悩と復活
 3:要一編 サラブレッドの要一が見せた気骨
 4:試合編 果たしてオリンピックに行くのは誰か!

知季・要一・飛沫・レイジ・サッチン、コンクリート・ドラゴンに挑む少年たちの何と生き生きと描かれていること!いえいえ、コーチの富士谷啓介(要一の父)・麻木夏陽子・大島、要一の母といった大人の姿も丁寧に描かれています。日水連・前原会長、一筋なわではいかないタヌキ的人物の権威者も秀逸。要一との対決シーンは貫禄十分で見事でした。そうそう、飛沫の彼女・恭子もキュートで良かったです。

炎のジロー、ピンキー山田といったライバルサブキャラも良かったですが、これに関しては門脇・瑞垣・展西といった強烈キャラを擁する「バッテリー」の勝利です。

「バッテリー」は読者にやや忍耐と苦痛を強いる面もありましたが、「DIVE!!」はもっとライト感覚で恐らくは誰でもが楽しめる作品だと思います。妻もほぼ一気読みでしたしね。両作品はタイプが異なるし、書かれた期間も異なります。どちらが優れているかといった議論は無意味と思いますが、本作品は手に汗握る試合のシーンが素晴らしかったです。「バッテリー」は試合シーンの少なさが唯一物足りなさにつながっていたのですが、「DIVE!!」にはそのもどかしさがなく、これは非常に嬉しかったです。

単行本では4冊=4部構成になっており、あえてそれぞれに点数をつけると

 1-前宙返り3回半抱え型  ★★★★   :80点
 2-スワンダイブ         ★★★★☆ :90点
 3-SSスペシャル’99    ★★★★★’ :95点
 4-コンクリート・ドラゴン   ★★★★☆  :90点

私の場合、こういった感じになりました。1も爽やかな佳編といった感じで良かったのですが、導入編・話の途中といった感じもあり、点数としてはやや控えめになりました。

森絵都、初の「スポ根小説」とか「スポ根シリーズ」といった表現が使われており、筆者自身も”御礼”としてあとがきで「スポ根もの」と書いておられますが、これには違和感あり。確かにみんな頂点を目指して必死に戦うのですが、知季・要一・飛沫たちの会話が素晴らしく、ユーモアもあり「スポ根もの」という感じはしなかったです。津軽に帰った飛沫を知季と要一が訪ねるシーンなど、静かでのどかで、心やさしくて、温かくて、でもちょっと気恥ずかしい感じがよく出ていたと思います。「ダイビングという超マイナーなスポーツにかけた青春。その1ページを鮮やかに切り取った秀作」と言えば良いでしょうか。そして、自分では使い過ぎのきらいがあってちょっと躊躇するのですが、素晴らしき「成長小説」でもあると思います。終盤になるにつれてどんどん積極的になっていく子供たち。それを誇りに思う敬介。いいシーンでした。

とてもこの作品の素晴らしさをうまく書き表せません。とりあえず感想(その1)はここまでにします。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ひろさん、おはよっ♪ (そら)
2006-10-17 09:58:41
ひろさん、おはよっ♪
私の拙い記事まで紹介していただいて、ありがとです。
びっくりしたぁ(笑)

でも、いいよね、この作品。
ひろさんおっしゃるように、素晴らしき成長物語。
>ライト感覚で恐らくは誰でもが楽しめる作品
ですね♪
読んでちょっと時間がたっているのですが、
自分の中で要一たちがまだ息づいていることに気付かされます。
それだけ生き生きと描かれていたんだなぁと、改めて思います。

ひろさんの感想の続編は、一人ひとりに目が行き届きそう。
この作品の登場人物に再会できるような気がして、
とっても楽しみにしています。
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☆そらさんへ (ひろ009)
2006-10-17 21:27:28
☆そらさんへ

こんばんは♪

読了はかなり前だったのですが、建築探訪やら旅行やらが間に入って、感想アップが随分遅くなってしまいました。

この作品、とにかく素晴らしいです。
ダイビングのシーンも良かったのですが、会話が素晴らしかったなあ。
それと、夏陽子や敬介、大島が子供達にそそぐ眼差し、子供達が想像を遙かに超える力を発揮するのを見たときの驚きと畏敬の念にも似た思いなども実に丁寧に描かれていたと思います。

~そらさんのブログ記事より~

>どの人物も愛おしく、すべての人を紹介したくなります。

 これこれ、ホントその通りなんですわ。
 私は気に入った箇所にメモパッドを貼りだしたら、
 メモパッドだらけになってしまった・・・。

おっと、こういうことは感想の続きで書かなくっちゃ!

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ひろさん、ご無沙汰してます。 (ちはる)
2006-10-18 11:11:12
ひろさん、ご無沙汰してます。
『DIVE』の事が載っていて嬉しくてお返事書きました。
私も大好きな本です。主人も一気に読んで気に入り、現在この本は主人の会社の部署の“学級文庫”のようなコーナーに置かれています♪

森 絵都さんはとっても魅力的な作品を書かれますね。
読むきっかけは子どもと一緒に本屋さんに行き
中学生・高校生を対象としたYA(ヤングアダルト)コーナーで
時間をつぶしている時、『宇宙のみなしご』という本を
立ち読みしたのが始まりでした。
私も思春期にこんな本に出会いたかったな~と思わせてくれる作品が多いです。
『つきのふね』も良かったですよ♪

小3の娘には少し早いかなぁ~。
時間と空間が急に変わる展開のものはまだ理解できないようですね。
いつか森 絵都さんの本を読んでほしいと思ってます。

P.S. 私も『ニュージーランド旅行』行きたいよ~

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☆ちはるさんへ (ひろ009)
2006-10-18 21:59:26
☆ちはるさんへ

こんばんは。

『DIVE』は素晴らしい作品でした。
お互いに夫婦で読破したみたいですね\(^_^)/
この本は男女を問わず&年齢を問わず楽しめるのも素晴らしいです。
それともう一つ、大人でも”子供のような心”あるいは”心の余裕のようなもの”を持ち続けている人でないとじっくりとは楽しめないような気がします。

『つきのふね』は森絵都作品のなかで一番最初に読みました。
傷つきやすい心を静かに描いた名作ですね。最後の手紙(○○くんへ)が非常に良かったという記憶があります。
ちはるさんのコメントを読んで早速『宇宙のみなしご』を図書館で予約しました。
ご紹介ありがとう!
『DIVE』は長男に読ませようかな?

また、ときどき遊びに来てくださいませ。

P.S. 私も『ニュージーランド旅行』行きたいよ~,too.
   (他の人には何のことやら分からないでしょうが)

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