犯罪加害者の家族を待ち受ける厳しい現実を描いた力作。
<注意>以下、ネタバレあり
迷いに迷い考えに考えた末、罪を犯した兄へ送った決別の手紙。兄が被害者の家族に送り続けていた手紙。その最後の手紙には、被害者家族の心情のことを理解せず無神経に手紙を送り続けたことに対する詫びの言葉と共に、弟から絶縁を告げられた驚きと悲しみについても記されていた。この2通の手紙が痛切。
殺人犯の弟に向けられる世間の目が痛い。善意の人もいるが、近所の人、教師、友人、恋人、恋人の父、会社の人・・・など、その距離感や温度差には微妙なものがある。恋人(中条朝美)の父は嫌な奴でした。家に来た直貴を手料理ではなく”お弁当”で歓迎した母も意地が悪い。そこに登場する従兄がこれまた・・・。直貴の会社の社長・平野の言わんとすることはちょっと難しかったですね。しかし、直貴の身の上を知りながら、壁を作らなかった2人の人物----白石由美子とミュージシャン・寺尾祐輔----がいたことは素晴らしい。
それにしても由美子は心優しく強い女性です。直貴に代わって(黙って)兄に手紙を送り続ける。常に直貴を励まし続け、会社での理不尽な処遇を知ると、勇気を出して社長に直訴の手紙を書く。結婚後、夫や自分だけでなく娘までもが周囲から仲間はずれにされてしまう状況になっても、ギリギリまで逃げず現実に立ち向かおうとする。彼女がいなかったら直貴はどうなっていたことか。しかし、直貴は遂に愛する妻と娘のために苦渋の決断をする。この決断の前後が奥深く、感動的だった。
ラスト、合掌する男の姿が目に入り歌を歌えなくなってしまった直貴。訣別宣言はしたものの、心の奥底で兄弟のつながりは切れてはいなかった。
刑務所にいる剛志の方が楽な生き方をしているようにも思えてしまう塀の外の現実の厳しさが凄いと感じたのも事実です。
****************** Amazonより ******************
本書でテーマに据えたのは、犯罪加害者の家族。犯罪が、被害者や加害者だけではなく、その家族にまで及ぼす悲しい現実を見据えた意欲作である。殺人犯の弟という運命を背負った高校生が成人し、やがて自分の家族を持つにいたるまでの軌跡を、大げさなトリックやサスペンスの要素を用いることなく、真正面から描ききっている。 「白夜行」以降、著者は「片想い」「トキオ」など、連載小説という発表形態を通じて、読み手を飽きさせないだけのストーリーテリングの実力を確実に身につけてきた。新聞連載された本書も、バンドデビューや窃盗事件などの出来事を積み重ね、そのつど揺れ動いていく直貴の心の危うさを巧みに演出しながら、物語を引っ張っていく。しかしながら読み手は、たえず居心地の悪さを感じずにはいられないだろう。なぜなら、直貴に向けられる差別は、私たち自身の中にも確実に存在するものだからである。「差別や偏見のない世界。そんなものは想像の産物でしかない」と言い切る直貴の言葉が、ずっしりと心に響く。(中島正敏)
武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。
***************************************************
こちらの問題だと思うのでお気遣いなく~。
いずれ直るでしょう(楽観視)。
ごめんなさいね~。。。。。
何ででしょうねぇ~。
ほかにも同じようにめんどい思いをされた方、きっといらっしゃるんだろうなぁ。
ご迷惑をおかけしますです。。。
ふえーん、先ほどアクセスしたらやっぱりダメでした(;_;)
いったん表示された直後にエラーメッセージが出てブラウザ(IE)が終了してしまいます。
会社PCからは問題無しなので、多分自宅PCの設定と何らかのバッティングしているんでしょうね。
当分、昼休みに会社PCから遊びに行きますう。
お久しぶりです。
>確かに!!!
でしょ?
ところで、自宅PCでそらさんのブログに遊びに行くと表示はされるのですが、その後スクロールなどをした途端にブラウザがダウンしてしまうのです。何でやろ・・・。今日、会社のPCでは正しく見れたのですが・・・。
ということで、自宅PCから手も足も出ないのです(;_;)
確かに!!!