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映画「アバター」

2010-03-31 23:03:38 | 映画

「アバター」(3D)
★★★★☆’:80~85点

ようやく今年度最大の話題作「アバター」(3D)を妻と観てきました。
まずは凄い作品で、3時間近くをたっぷり楽しみました。「タイタニック」のジェームズ・キャメロン監督がよくぞまたこんな映画を作ったもんだ。CGや3Dに注目が集まるのは当然ですが、ドラマ部分(特にラブ・ストーリーとしての)も丁寧に作られていたのは評価できます。

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殆どが惑星パンドラ上での物語であるため場面や状況に大きな変化が無く、主人公ジェイクがナヴィの戦士として訓練を積むシーンなども若干、冗長かなと思い始めていたら、”イクラン”の棲み家である空に浮かぶ山々(ハレルヤ・マウンテン)を目指すあたりから高度感・浮遊感がグッと増し、一気に引き込まれた。

ここからのめくるめくような高度感、飛翔感、スピード感、迫力がもの凄く、3Dの効果も高度感などに最もよく現れている気がした。ここだけでも映画館で観る価値は十分にあり。また、自然が作る造形美や映像美も秀逸で、”ストーン・アーチ”の崩れかけた美しさを見よ!

ネットで少し検索すると、宮崎駿アニメとの共通性について語っている人が多かった。確かに ”ハレルヤ・マウンテン”などはまさに「天空の城ラピュタ」の世界であるし、アンオブタニウムと飛行石との共通性にもすぐに気付く。”ハレルヤ・マウンテン”は他のジブリ作品の「耳をすませば」にも出てくる高度感・浮遊感と同じだと思った。また、森の神(?)の神秘性や不思議な力は「風の谷のナウシカ」と似ている。「もののけ姫」のことを書いている人もいるようだ。

SFとして「スター・ウォーズ」などとの共通性は当たり前だろうが、全体的な造形美は「ロード・オブ・ザ・リング」を彷彿とさせ、獣たちに襲われ、逃げ、戦うシーンは「ジュラシック・パーク」である。そして、怪鳥(?)を操るシーンには上橋菜穂子のファンタジー小説でアニメにもなった「獣の奏者」が重なる。

また私は、ホーム・ツリーや森を焼き尽くすシーンは「地獄の黙示録」だと思った。ここはかなり残虐で哀切なシーンである。

と書いていると、様々なエッセンスの集大成のような映画にも思えてきたのであるが、各種の設定がジェームズ・キャメロンのオリジナルなのか、いろんなクリエイターや先人の影響を受けてのものなのかよく分からなくなってきた。ただ、それらプラス、アバター(分身----人間とナヴィのDNAを組み合わせて生み出した)という希有な設定を一つの映画の中で描ききったことは凄いのひとこと。ストーリーは大体想像がつくし、悪役がやや類型的とはいえるが、悪役もあそこまでダイ・ハードあるいはターミネーター的なのは面白かった。

森の神(?)との精神交流というか、電気的手段による意思伝達などについては、もう少し深く描いてほしかったところである。また、終盤、ナヴィの人々が全員手をつないで祈るシーンは、もうちょっと別の描き方でも良かったかなという気もした。

総合感銘度では大スペクタクル&パニック映画に”海の上のロミオとジュリエット”という大ロマンスをうまくミックスし、主題歌や音楽も印象的だった「タイタニック」の方を上に評価します。「アバター」も凄かったし面白かったのですが、見終わって数日経つと、心に残るものが少ないかなあ。まあ、私にとってはそういうタイプの映画だったということでしょう。ですが、あの高度感、飛翔感などは映画史上に残るものとして最高評価です。

それにしても、CGでここまでの映画を作られてしまうと、日本映画などではちょっと太刀打ちできそうもなく、宮崎駿のように素晴らしい志とイマジネーション+アニメで対抗するしかないのか?

◎参考ブログ:

   shimoさんの”ランシモ”
   アイリスさんの”To be continued.”