ひろの東本西走!?

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近代名建築で食事でも(稲葉なおと)

2007-01-25 08:00:00 | 本と雑誌

Inaba1近代名建築で食事でも(白夜書房)
★★★☆:70点

以前、写真集「アール・デコ・ザ・ホテル」を紹介した稲葉なおとさんの近著です。かつて、森まゆみさんの「明治・大正を食べ歩く」という東京の老舗を訪ねて食べ歩くご機嫌な本がありました。稲葉さんの本書もタッチや体裁は全く違うのですが、見て・読んで楽しく美味しい本です。

~帯から~

明治・大正・昭和の時代から今なお生き続け愛されている、東京の近代建築たち。
食事と喫茶を愉しみながら、撮り、書き下ろした、建築鑑賞紀行。
高級フレンチから学食まで。

~本書から~

明治政府の近代化政策とともに世に送り出され、昭和初期にかけて建てられた貴重な近代建築。東京にもまだ残るその何軒かは一般に公開されている上に中で食事も愉しめるとなれば、これはもう矢も盾もたまらなくなってしまった。近代名建築で食事をするなら、そこがまだ残っている今のうちなのである。

さてさて、取り上げられた建物とメニューは・・・

礼拝堂風学食で頭脳ランチ
  「立教大学・第一食堂」(カキフライ)
ラ・マンチャの味
  「小笠原伯爵邸」(歓迎のピカエタ)
総栂普請の暗殺の部屋
  「高橋是清邸」(うめとしらすのピラフ)
巨匠の作品に囲まれたバニーガール
  「九段会館」(キーマカレーサンド)
長屋門の邸宅で京菓匠の品
  「葛飾区山本邸」(つばらつばら)
有形文化財の地下実験室風食堂
  「東京大学・銀杏・メトロ食堂」(やわらかチキンカツ)
フランク・ロイド・ライトの妙技
  「自由学園明日館」(瓶ビールとグリッシーニ)
「口上」と「時雨西行」の合間に
  「歌舞伎座」(数限定幕乃内)
喧騒から隔絶したモダニズムの邸宅
  「原美術館」(骨付き仔羊のソテー)
忘れられた異端の建築家
  「ライオン銀座七丁目店」(焼きたてローストビーフ)
開かれたアール・デコの館
  「学士会館」(イチゴとラズベリーを添えたクレームブリュレ)
ジャコビアン様式に凍える
  「旧岩崎邸庭園」(白玉ぜんざい)
文化勲章受章画家の部屋
  「目黒雅叙園”旬遊紀”南風の間」(特製窯焼き北京ダック)
李王家東京邸の物語
  「赤坂プリンスホテル旧館”仏蘭西料理 トリアノン”」
    (緑のベールを着飾った仔羊のロースト)
六代目社長のこだわり
  「いせ源」(アンコウ鍋)
シャトー風邸宅の思い出
  「ロアラブッシュ」(二台のワゴン・デザート)

「明治・大正を食べ歩く」と比べると、高級なところも含まれているので多少気取った感じがしないでもありませんが、立教大学や東京大学の学食も含まれているのがいいですね。以前、立教大学を探訪したときは第一食堂は閉まっていて残念でした。私がまず行ってみたいのは、小笠原伯爵邸とライオン銀座七丁目店かな?

稲葉なおとさんの本は独特のムードがあります。建物の写真は全景写真も含めてもう少し大きめで数も増やしてほしかった気はします。ひとつ不思議だったのは、本文中に読点「、」が非常に少なかったことです。読点のない長い一文でどれくらいのものがあるかちょっと調べたら、240字くらいのものがありました。150字くらいの箇所は多数あり。あとがきなどはそうでもないので、これは意図的なんでしょうか。

★最近も世界各地のアール・デコ・ホテルを巡られたようで、「アール・デコ・ザ・ホテル」の続刊も期待したいと思います。