ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

風味絶佳(山田詠美)

2006-09-05 23:58:00 | 本と雑誌

Huumi1 風味絶佳(文藝春秋)
★★★:60点

本の雑誌で2005年度のベスト1に輝き、アマゾンのカスタマーレビュー等でもかなりの高評価を得ている作品ですが、私にはピンと来ずでした。読書にはある程度、嗜好などについて性差があると思うのですが、男性読者の平均的な評価・感想はどんなものなんでしょうね。あまり読んだ人はいないのかも。でも、北上次郎氏は凄いと唸っているみたいだしなあ。

6編の中では「海の庭」がマイ・ベスト。離婚したママと幼なじみ”作並くん”との不思議な関係が魅力的でした。プラトニックかと思いきや、「大人が初恋をやり直すって、いやらしくて最高だろ?」
次いで「風味絶佳」「春眠」といったところか。

「間食」は鳶職仲間の寺内がちょっとコワかったです。いつも微笑んでいて礼儀正しく、言葉づかいも妙に丁寧。休憩時間には一人で静かに文庫本を読み、昼食も品の良い蕎麦屋で一人で食べている。しかし、ラチェットの使い方はプロだという、そんな不思議な鳶職人。高い所に行くことは全然恐くないと言い、安全帯を「うっとおしいんだよね、あれ」と嫌う。落ちることを何とも思っていない怖さ。暴走族上がりの新入りが絡んできたときは、「殺したいんですか?」「もしそうなら、どうぞ」と言ってのける。世界じゅう全部の人をいつも殺したいと思っていると事も無げに言う。彼には一体過去にどんなことがあったのだろうか?彼の中で、どこかで何かが破綻したのか。これだけでも凄い物語ができるような気がしました。敢えてこれをベストとする考え方もあります。ということで、私はあまり恋愛小説としては読んでいなかったですね。

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出版社 / 著者からの内容紹介

「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。孫にグランマと呼ぶことを強要する祖母・不二子は真っ赤なカマロの助手席にはボーイフレンドを、バッグには森永ミルクキャラメルを携え、70歳の今も現役ぶりを発揮する――。

鳶職の男を隅から隅まで慈しみ、彼のためなら何でもする女、「料理は性欲以上に愛の証」とばかりに、清掃作業員の彼に食べさせる料理に心血を注ぐ元主婦など、お互いにしかわからない本能の愛の形を描いた珠玉の6篇を収録。

山田詠美が作家生活20年目に贈る贅を尽くした最高傑作。

小説は、私にとって、ままならない恋そのものである。

山田 詠美(あとがきより)

~ブックカバーより~

ままならない恋に、風味あり
「ベッドタイムアイズ」から20年、「新たな恋愛小説」が生まれた!