ひろの東本西走!?

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模倣犯(宮部みゆき)

2005-05-27 07:00:00 | 本と雑誌
mohouhan模倣犯(小学館)
★★★★’:75点

読み終わっての正直な感想は、”終盤はなかなか良かったけれど、とにかく長かった・・・”です。
これほど長さに手こずった小説は久々。
まあ読む側のコンディションも今いちだったかな。
長くても自分にフィットして面白ければ問題ないのですが、序盤は次々と新しい人物が登場して覚えきれないし、理不尽な殺人シーンも多く、身勝手な犯人の考え方と行動に腹が立つやらで、読んでいて気持ちの良いものではありませんでした。いったんは本を放り出しかけましたね。

全体的に、もう少しスピーディな展開でボリュームもおさえてほしかったところ。
3年間にわたる(?)雑誌連載のものを大幅に加筆・修正されたようですが、裏目に出たのでは?
この本は様々なミステリー・ベストテンで常に上位にランクされたようですが、私には信じられないです。
かつて読んだ「火車」は、最後の最後まで姿を現さない真犯人にゾクゾク。
まるで上質の映画を思わせるようなラストシーンは、ミステリー小説としては屈指のものだったと非常に高く評価しているのですが・・・。

犯人側の描写がやたらと多かったのですが、とても感情移入できるはずもなく、小説としてはやはり捜査側を丁寧に描いて貰わねば。絶好調時の横山秀夫のように。
警察が真犯人に確信を持った経緯も尻切れトンボで不満が残りました。
子供が拾った携帯電話、電話悩み相談室に録音されていたかもしれない声、小樽で襲われかけた女性の証言などの扱いが中途半端なまま。
読者に判断を委ねちゃったのかな?
高井和明・由美子の兄妹が全く救われることがなかったのも空しいですね。

と、まあ不満を書き出せばきりがないのですが、あえて良かった点を上げると、

・警察におけるデスク担当の存在
・孫娘を殺された豆腐屋主人・有馬義男の人格と存在感
・元警察官だったという”建築家”の推理
・ピースが高井由美子と共に滋子と真一の前に姿を現したシーン
   ----これには、ただただビックリしました。しかも本まで書くとは!
・TV番組での滋子と真犯人の対決。究極のハッタリが見事!

などなど。

それにしても、ピースのような考え方・行動をする人間なんているのかな?
そのような人物を創り出した宮部みゆきの力量は認めましょう。