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ひろの東本西走!?

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龍は眠る(宮部みゆき)

2005-11-01 23:25:00 | 16:ま行の作家
ryuuwanemuru-1龍は眠る(新潮文庫)
★★★★☆’:85点

「魔術はささやく」に続いてゆきうさぎさんの勧めがあり、gracemomoさんも高く評価されていた初期の宮部作品を読みました。全体的には、より軽みのあった「魔術はささやく」の雰囲気の方が多少私好みかなという気もしましたが、とても良かったです。本作の方が哀感が強く出ていましたね。

~Amazon 内容(「BOOK」データベースより)~
嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。

******************* 【注意】以下、ネタバレあり *******************

人の心を読みとることができる、手で触れることによってより鮮明に相手の本当の気持ちを読みとることができるといった点で筒井康隆の「家族八景」、スティーヴン・キングの「グリーン・マイル」を思い出しました。ですが、その能力は嬉しいものではなく、稲村慎司と織田直也という二人の超能力・超常能力を持つ人間の苦しみ・悲しみがよく描かれていましたね。よくよく考えると、テレポーテーション等ちょっと荒唐無稽ともいえる内容もあるのですが、宮部さんの人に注ぐ愛と筆力の賜物か、そんなことは殆ど気にならず、またもやグイグイと引き込まれていきました。

慎司の両親、特に父親が良い味。
三村七恵、超good! 綺麗で心の美しい人には誰でも惚れちゃうでしょうけどね。「魔術はささやく」の真紀や”あねご”時田沙織のような元気娘も好きですが、七恵もいいなあ・・・。
悪友?生駒の明るさ・快活さも最高。

織田直也の死は哀切でした。でも、より強い能力を持っているが故に苦悩も深かった彼が、やれることはやりきったという満足感を持てたらしいのは救いではありました。慎司も含めて、結局、人は特別な才能の有無に関わらず自分がやれるだけのことをして人の役に立ちたい、役に立てればそれが幸せということだろうか。宮部さんが一番描きたかったのはここかな?

誘拐事件の犯人は、分かってみれば不思議でも何でもありませんでしたが(警察も気付いていたように)、読んでいる最中はあまり考えが至らず。高坂が、どう考えても自分には過去にそれほどの恨み・憎しみを買うような覚えがないといった不自然さが面白かったです。犯人がそれを言えるはずもなかったし、うまいひねりでした。

タイトルになっている「誰もが身体の内に秘めた眠れる龍」。この表現はちょっとピンとこなかったのですが、まあ本質には関係ないかな。