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ひろの東本西走!?

読書、音楽、映画、建築、まち歩き、ランニング、山歩き、サッカー、グルメ? など好きなことがいっぱい!

映画 「風立ちぬ」 良かった!

2013-08-03 02:02:49 | 映画

会社帰りにレイトショーで宮崎アニメ最新作の「風立ちぬ」を観てきました。

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意識して予備知識を極力排除したため、あー、こういう映画だったのかと色んなことを感じながらの鑑賞となりました。

感想は「とても良かった!」です。
★★★★☆:90点でしょうか。
私の感性や好みにかなりフィットしました。

まだ観ておられない方が多数おられるはずなので、あまり細かいことは書かず、ストーリーは映画公式サイトにあったものを転記しました。

  かつて、日本で戦争があった。

  大正から昭和へ、1920年代の日本は、
  不景気と貧乏、  病気、そして大震災と、
  まことに生きるのに辛い時代だった。

  そして、日本は戦争へ突入  していった。
  当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?

  イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、
  後に神話と化した零戦の誕生、
  薄幸の少女菜穂子との出会いと別れ。

  この映画は、実在の人物、堀越二郎の半生を描く。

  堀越二郎と堀辰雄に
  敬意を込めて。

  生きねば。

これまで、宮崎アニメでは「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」をベストスリーに挙げていましたが、そこに本作「風立ちぬ」を加えた4本をベストフォーというか四天王(?)とします。作品のテイストなどが異なるため、あえて順位はつけません。

宮崎アニメ特有の浮遊感・飛翔感は本作でも素晴らしく、更に作品名ともつながる「風」をこれまでの作品以上に強く感じました。風を切り裂いて飛ぶ飛行機(紙ひこうきも)、風になびく髪や草、風に飛ばされる帽子・傘、風と共に降り注ぐ雨、汽車のデッキで感じる風、爆風や火災による風・・・。爽やかで清々しい風もあれば、暗く重苦しい風もある。それらの描写が見事でした。

そして、風だけでなく、光と影、緑、木洩れ日、青空、雲、雨、雪、水辺や水面などの自然描写の美しさ。建物(煉瓦造や石張り、下見板張りの洋館。離れや縁側といった和館の佇まい、レトロな店舗 etc.)や街並みの描写の緻密さ、素晴らしさ。主題である飛行機はもちろん、自動車(バス)・汽車・路面電車などの乗り物へのこだわり。そして設計者・技術者魂と男たちのロマン。友情。師弟の絆。

愛も丁寧に描かれています(夫婦愛、親子愛、兄妹愛)。関東大震災が発生した日の菜穂子との運命的な出会い。軽井沢での再会。まさに純愛で、上司である黒川夫妻の媒酌で突然あげることになったひそやかな結婚式シーンの美しさ。終盤は悲しさ、寂しさも伴いますが、二郎と菜穂子の愛は短くも美しく燃えたのでしょう。

二郎の落ち着いた物腰、その一方で、夢にかける思いの強さと凄まじいまでの集中力なども印象的でした。また、二郎と共に必死に生きようとし、しかし、最後は自らの運命を受け入れる菜穂子の強さにも惹かれました。

ユーミンの主題歌「ひこうき雲」、久石譲のシャンソン風あるいはクラシック風の曲も素晴らしかったです。

レイトショーでしたが、最終的には若い人を中心に8~9割の入りだったでしょうか。ファンタジーではありませんし、作品的に子供をターゲットにはしていません。若い人は果たしてどこまでこの作品が描いた時代のことを心に受け入れたのでしょうね。

戦争が作品に大きく影を落とし、もちろん戦闘機や爆撃機、空母なども登場しますが、実際の戦闘シーンは殆どありません。戦争そのものを描いた映画や反戦を訴える映画などではなく、私は必死に生きようとした青春物語・純愛物語だと思いました。

映像的には飛行シーンの素晴らしさはもちろんのこと、私は序盤の関東大震災の映像表現に鳥肌がたちました。アニメ的な誇張があるものの、これは凄かった。。。また、サナトリウムの静謐なシーンも印象的でした。

この映画は万人向けではないかもしれません。
ですが、私は自信を持ってオススメします。
宮崎駿&スタジオジブリ、よくやった!


新・午前十時の映画祭 「冒険者たち」

2013-04-10 22:39:56 | 映画

冒険者たち(フランス映画)
★★★★★:100点

映画ファンには嬉しいイベント「新・午前十時の映画祭」が始まった土曜日、大阪ステーションシティシネマ第1作目の作品「冒険者たち」をいの一番の第1回上映で観てきました。

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この作品は確か1970年代(中学生の頃)に「ゴールデン洋画劇場」のTV放映を見たのが最初のはずです。同様にしてTVの「日曜洋画劇場」で見た「鉄道員」(こちらも2年前に「午前十時の映画祭」で観ました)とあわせて、TV放映を見た直後からマイ・ベストムービーのベスト2(どちらが上ということはありません)にランキングし、この2作品はそれから何と40年以上(!)、不動のポジションを占め続けています。第3位はときどき変わりますけれど。 

★「新・午前十時の映画祭」HPの解説とストーリーより

<解説> 

60年代フランス映画の名篇がついに上映決定!パイロット、レーサー、彫刻家、それぞれが夢を追い、しかし共に挫折した彼ら3人の“冒険者たち”は、より大きな夢を追ってアフリカ沖へと旅立つ。野性味溢れるドロン、大人の渋さのヴァンチュラ、フレッシュな魅力を放つシムカス。太陽が眩しく照りつける大海原にきらめく、愛と友情のアドベンチャー・ロマン。F・ド・ルーベの名曲に乗せ、名匠アンリコが鮮烈に綴った青春の光と影。
 

<物語> 

命知らずのパイロット・マヌー(アラン・ドロン)と、自動車技師ローラン(リノ・バンチュラ)は、ある日、美しい前衛彫刻家レティシア(ジョアンナ・シムカス)と出会う。厚い友情で結ばれていた男二人に女一人。この三人の間には、いつしか不思議な三角関係が生まれていく。そしてある日、三人はどん底の生活から這い上がるために、アフリカ沖に沈む財宝を積んだ船を探すという、一獲千金の旅に出る。この船出が、彼らの運命を変えていくとも知らずに……。
 

Amazonレビューより
 

 パリ郊外の飛行クラブでインストラクターをしているマヌー(アラン・ドロン)と新型エンジンの開発に熱中す元レースカーのエンジニア・ローラン(リノ・バンチュラ)のもとに、レティシア(ジョアンナ・シムカス)という女性が現れる。芸術家の卵である彼女に恋心を抱くふたり。やがて3人は、アフリカの海底に5億フランの財宝が眠っているとの話を聞き、コンゴに旅立つ。
 

 男ふたり、女ひとりの恋愛関係、複葉機で凱旋門をくぐるマヌー、船の上でふざけあう3人、海中に沈んでいくレティシアの遺体、そして海にぽっかりと浮かぶ軍艦島。口笛を使ったフランソワ・ド・ルーペの音楽が、名シーンの数々をいっそう忘れがたくしている青春映画として、友情を描いた作品として、冒険を描いた作品として、その輝きは永遠に色あせることはないだろう。マヌー、ローラン、レティシア、まるで実在するかのように彼らと彼らの行動が愛おしくなってしまう。ロベール・アンリコ監督の映画には、いつまでたっても大人になりきれない人間が登場し、夢追い人たちに微笑みかける。(斉藤守彦)

Photo_2

概要やストーリーは上記の文章で書き尽くされていますね。
以下、感想などを若干、硬質な文体で書いてみた。
※注)以下、ネタバレあり。

どなたかがブログで書いておられたのだが、映画の冒頭、レティシアが自動車解体工場(?  廃棄物処理場)にやってくるシーンで、川向こうの光が当たった明るいビル群手前の暗く殺伐とした風景と対比が見事(上の写真)。作品全体を貫く明るさとほの暗さ、動と静、夢や野心と挫折、ロマンと現実、束の間の幸せと忍び寄る不穏・不安な影・・・。フランソワ・ド・ルーベの音楽は、不安をかきたてるような、あるいは予感させるようなテンポの速い刻むようなリズムと口笛を使ったゆったりとした美しいメロディが交互に現れ、作品の性格を見事に紡ぎ出している。この音楽は一度聴いたら忘れられない、映画音楽史上の傑作とも言えよう。中学生だった私の脳裏には恐らく冒頭~序盤の映像と音楽が焼き付き、以降、マイ・ベストムービーの地位を不動のものにしたものと思われる。

好きなシーンや印象に残るシーンは多すぎて、とても書ききれない。

序盤、ローランが運転する軽トラックすれすれに、まとわりつくように踊るように楽しげに飛ぶマヌーの飛行機(前部座席にレティシアを乗せている)。このシーンが最高に美しく&素晴らしく、おそらくここでこの映画と3人の虜になった人が多いだろう。

コンゴ沖での宝探し。まばゆい太陽のもと、船上での3人の自由で気ままな暮らし。宝探しの合間にマヌーとレティシアが、ローランとレティシアが小型ボートを操って走りまわり、楽しそうに笑いころげる。2人を見つめるもう一人。友情、恋心、羨望、若干の嫉妬? これぞ青春ロマンか。ローランは結構な年齢のはずではあるが。

レティシアが叔父・叔母に育てられた町の小さな博物館で解説をする少年。レティシアに似たソバカス顔で純粋無垢なところが素晴らしい。叔父・叔母の冷たい態度に愛想を尽かしていったんは引き揚げかけた2人は、少年がレティシアの従兄弟と知って、巨額の遺産を渡すことに決めるシーンも良かった(この少年が実にいい子でね)。遺産が叔父・叔母ではなく、きちんと少年に渡るよう、成人してから渡すように公証人?に託すのも痛快。

映画終盤の重要な舞台となる、日本の軍艦島(端島)を髣髴とさせる要塞島(ボイヤール要塞)。レティシアの幼い頃からの夢の対象であったこの島の存在も映画には大きい。そこで彼女の夢を実現しようと考えたローラン。いったんは彼と距離をとったものの、孤独感・空虚感からか舞い戻ってきたマヌー。しかし、要塞島の雰囲気が誘うかのように大金を付け狙う一味が再び。。。

ラスト。直前まで夢を語り合ったマヌーまでも銃撃で失い、頭を抱えるローラン。やがてその手をおろし、マヌーの傍らで呆然と立ち尽くす。映像はゆっくりと周りながら俯瞰撮影で遠ざかっていく。波の音と音楽。ローランの孤独感と絶望感を思うと胸が締め付けれれる、痛切・哀切のラストである。

今見れば、映像が古めかしかったり、多少展開が性急であったりするが、それが作品の小気味良いリズム感につながっていると思う。幸せな時間がもっと長く続いて欲しかったなあとの思いが強いが、フランソワ・ド・ルーベの音楽とあわせて、常に感じる不安感がこの作品をより一層印象的なものにしていた。

中学生のときも老眼鏡(?)をかけたローランの方が印象に残ったように記憶しているが、髭ぼうぼうのマヌー(アランドロン)も野性的でかっこよかったなあ。最後の2人の言葉には涙、涙。。。<o:p></o:p>また、元パイロット役のセルジュ・レジアニ。3人にとっては財宝のありかという幸運をもたらすと共に、取り返しのつかない不幸をも招いた人物であるが、彼の哀感や疎外感も実によく描けていた。彼が最後に示した友情(?)は・・・。

劇場で観たのは2回目、テレビ放映やビデオ・DVDで観たのは4~5回だと思う。鉄道員のときも書いたが、ストーリー良し、俳優良し、音楽良し、映像良し。まさに私にとっての不朽の名作である。そして、レティシアは永遠のヒロインとなった。

大感動作ほど、どのように書いて良いか分からず支離滅裂になってしまったが、この作品を観たことの喜びとその感動を覚えていることに誇りを持ちたいと思う。だが、これはいつまでたっても大人になりきれない人間なのかなあ。。。

P.S.
金曜日にBSでこの映画が放映されるようですよ。
劇場の大スクリーン&暗闇で観るのと差はあるかもしれませんが、
必見!


第二回 午前十時の映画祭 「鉄道員」再見!

2011-04-20 22:54:00 | 映画

鉄道員(イタリア映画)
★★★★★:100点

2月に「大脱走」を観て中学生の頃の興奮と感動が鮮やかに甦った第二回・午前十時の映画祭。今度は「鉄道員」(1956年)を初日の第一回目に観ました!(at TOHOシネマズ梅田)

私が生まれる前に作られたこの作品、やはり中学生の頃にTVの「日曜洋画劇場」(淀川長治さん!)で観て大感動し、我が生涯の洋画ベストテンで数十年もの間ずっとベスト3の一画をキープし続けています。監督&主演のピエトロ・ジェルミ、ルイザ・デラ・ノーチェ、エドアルド・ネヴォラ、シルヴァ・コシナ、サロ・ウルツィ・・・。そして、カルロ・ルスティケリ(音楽)。今でも出演者や作曲者の名前はスラスラ出てきます。この作品を再び映画館のスクリーンで観ることができるとは!

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*************************** あらすじ **************************

(午前十時の映画祭のサイトより)

鉄道機関士のアンドレア(P.ジェルミ)は、厳格な父親であった。長男マルチェロや長女ジュリアはそんな父を敬遠し、幼い末っ子サンドロだけがアンドレアを尊敬し、誇りに感じていた。そんな家族を支えているのは、寛容で慈愛に満ちた母サラ(L.D.ノーチェ)の存在であった。ある日、アンドレアの運転する列車に青年が飛び込み自殺をしてしまう。そのショックで信号無視を犯し、アンドレアは降格。組合も彼には厳しく、彼は酒におぼれ、周囲からも次第に孤立していく……。

(CinemaScapeより)

戦後のイタリア、鉄道の運転士ピエトロ・ジェルミの父を誇りに思う息子サンドロエドアルド・ネボラの目を通し、家族の絆を描く感動作。長女や長男と一途で厳格な父とのわだかまり、意に反したスト破りでの仲間との確執、不幸な事故で酒におぼれ体を壊していく。家族、夫婦、仲間といった庶民の暮らしを切ないメロディとともに描いている。 (kinopさん)

******************************************************************

「大脱走」のときと同様、ギターが主旋律を奏でる憂いを帯びたテーマ曲(映画音楽として名曲中の名曲)が始まると、心はあっという間に少年時代へタイム・スリップ。殆どすべてのシーンを覚えていましたが、感動度合いは昔も今も変わらずでした。まさに名作は死なずです。

【 注)以下、ネタバレあり 】

特急列車の運転士として仕事に誇りを持つ、謹厳ながらも酒と音楽が大好きで快活な父・アンドレア。いつも家族全員のことを思い、悩みも多いけれど、優しくて、みんなから頼りにされる綺麗でしっかりものの妻・サラ。人は良いのだが、仕事もせず毎日ダラダラと過ごして遊んでいる兄・マルチェロ。不本意な妊娠で(?)結婚したものの、決して幸せには暮らしていない美人の姉・ジュリア。そして、父が好きで、母が好きで、年の離れた兄や姉も好きで、可愛らしくて、やんちゃで、機転がきき、ちょっぴり大人びたところもあり、みんなに愛される末っ子のサンドロ。学校の成績を親に見せづらかったりといったシーンも微笑ましかったですが、サンドロを演じるエドアルド・ネヴォラが家族の間をとりもつ天使のようでした。そして、サラは慈愛に満ちた聖母マリアか。この2人が家族を結びつけていましたね。

喜びと悲しみの繰り返しの日々。家族の心の結びつきと離反。中盤以降はなかなか厳しくつらいシーンが続きますが、物語の終盤の木洩れ日が射すようなシーンにピエトロ・ジェルミの心の温かさを感じました。

スト破りとして仲間からも冷たい目で見られ、家にもいづらくなって場末の酒場に入り浸りになる父・アンドレア。「一緒に帰ろう」と迎えにきた息子と共に、勇気を振り絞って居酒屋の仲間の元へ。彼の姿を見た仲間の束の間の沈黙が緊張感をはらむが、新しいワインをあけて迎えようとする酒場の主人が素晴らしく、かつてのようにみんなで賑やかな酒盛りが始まる。胸をうつ良いシーンです。

終盤のクリスマスのシーンが最高です。体を壊し、3人で寂しくクリスマスのテーブルを囲んでいるところに突然戻ってきた長男。抱き合う父と息子。これからもずっと家にいるという。やがて、次々と友人たちがやってきて、酒に音楽にダンスに、これまでになかったほどの賑わいを見せる。久々の幸せに顔がほころぶ父と母。そして、長女からも、別れた元夫と一緒にミサに行った後、家に来るという嬉しい電話がかかってくる。このあたりは分かっていても泣けます。

皆が帰った後、心地よいほろ酔い気分の中でベッドに寝転んでギターをつまびくアンドレア。もうすぐやってくる娘夫婦を待ちながら。台所で片づけものをしながらその音色に耳を傾けている妻。やがて、ギターの音色がやんで・・・・。

悲しみの中に明るさが同居したラストも秀逸。サントラ版では音楽と共にこのラストシーンの2つの台詞も入っていました。音楽のカルロ・ルスティケリは「鉄道員」以外にも「刑事」「ブーベの恋人」「誘惑されて捨てられて」などの有名な曲を書いており、私はカルロ・ルスティケリとニーノ・ロータ(「道」「ロミオとジュリエット」、後年では「ゴッドファーザー」などが有名)の映画音楽のレコードを所有していました。今も実家に残っています。

この映画は庶民の暮らしと家族や仲間の絆を描いており、名匠ピエトロ・ジェルミ版「家族の肖像」と言ってよいのかもしれません。貧しくとも心の結びつきが強い家族の姿など、戦後10年くらい経った頃のイタリア映画には日本映画と似たような空気があります。家族や友の素晴らしさ、ありがたさ。古くからの友人を演じるサロ・ウルツィも名演でした。初見以後、やはりTV放映されたものを1,2回見たと思いますが、この年齢になって再見すると、登場人物の全ての立場で見たり考えたりして感慨深いものがありました。そして、この映画はやはり今後も生涯のベスト3から外れることはないと確信しました。ただ、主人公アンドレアの年齢にビックリ。今の私より年下の設定だったとは!

やはりヨーロッパの国々の建物は美しく風情がありますね。アンドレアの住まいは庶民が住む安アパートなのでしょうが、背の高いドアやインテリアなどに味わいがありました。また、イタリアが歌好きの国(クラシック、カンツオーネ)、サッカー好きの国ということも再認識しました。

約2時間の映画で、第1幕と第2幕に分かれていたことを今回、初めて知りました。上映そのものは休憩なしで連続でしたけれど。入場者は年配の人ばかりかなと予想していたら、確かに多かったものの、若い方の姿もチラホラ見えて嬉しく感じました。題材が古かろうが、モノクロであろうが、素晴らしい映画はいつの時代でも人の心を打つのだと思います。

さて、とにかく素晴らしい午前十時の映画祭、次は何を見に行こうかな?


海炭市叙景(atシネ・ヌーヴォ)

2011-01-21 22:44:00 | 映画

Si1 海炭市叙景
★★★★:80点

久々の映画感想です。

自宅から徒歩10分強の場所にありながら、これまで行ったことがなかったミニ・シアター「シネ・ヌーヴォ」で「海炭市叙景(かいたんしじょけい)」を見てきました。少し前の新聞夕刊でこの映画の評を読み、これは面白そうと思って出かけたものです。

ちなみに、先日発表された2010年度キネマ旬報ベスト・テンで日本映画の第9位に選出されています。

映画の公式サイトはこちら



********   <ストーリー>公式サイトより ********

その冬、海炭市では、造船所が縮小し、解雇されたふたりの兄妹が、なけなしの小銭を握りしめ、初日の出を見るために山に昇ったのです…。

プラネタリウムで働く男は妻の裏切りに傷つき、燃料店の若社長は苛立ちを抑えきれず、父と折り合いの悪い息子は帰郷しても父と会おうとせず、立退きを迫られた老婆の猫はある日姿を消したのです…。

どれも小さな、そして、どこにでもあるような出来事です。
そんな人々の間を路面電車は走り、その上に雪が降り積もります。

誰もが、失ってしまったものの大きさを感じながら、後悔したり、涙したり、それでも生きていかなければならないのです。

海炭市でおきたその冬の出来事は、わたしたちの物語なのかもしれません。

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函館をモデルにした北の町、海炭市を舞台にした日本映画らしい情感あふれる作品だった。映画全体を覆うややもの悲しく暗いムードは、冬の北の町という季節・風土とも関係しているのかもしれない。

しかし、生きるということは何と厳しく、切なく、哀しいものなのだろう。自分の思うように生きることができなかったり、一生懸命生きようとしても空回りしたり・・・。ここで描かれた5編では、小さな喜びはあるものの、悲しみ、怒り、いらだち、虚しさ、あきらめ、無常感、疲労感などが際だっていたように思う。特に、「まだ若い廃墟」(谷村美月ほか) と「裂けた爪」 (加瀬亮ほか)の2編が強く印象に残った。若い兄妹には貧しくとも幸せに暮らして欲しかったのだが・・・。

プラネタリウムや市電のシーンなどで数組の登場人物がわずかにクロスするのであるが、映画的にはもう少し接点を持たせても良かったかとも思う。

谷村美月さん。映画「ボックス!」の感想でも少し書いたのであるが、この若手女優さんはちょっと古風な雰囲気の役をやらせると抜群に上手い気がする。一番身につまされたのは、仕事で家庭で様々な問題を抱える加瀬亮の苛立ちだろうか。ただ、全般的にはもの悲しい結末の物語ばかりであるが、やはり最後は人が拠るべきところは家族なんだろうなとか、頑張って生きていればそのうちにちょっとは良いことも起こるんだろうなと感じた。市電で、夫婦が親子が並んで座っているシーンに僅かな光を見たような気もする。

ミニ・シアター系劇場での公開だが、この映画がキネ旬をはじめとしてベストテン入りしたり、幾つかの賞を受賞しているのは嬉しく思う。

◎参考ブログ

   苗坊さんの苗坊の徒然日記(2011-3-24追加)
    *原作について書かれています。

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「シネ・ヌーヴォ」は確かマンション(orビル)の地下にあり、最初、ちょっと場所が分かりませんでした。昔よく行った名画座(大阪では「戎橋劇場」や「大毎地下劇場」などが有名でした)ともちょっと違った雰囲気でした。これがミニ・シアター系映画館の佇まいなのでしょうか。映画関係の色んな雑誌や本も多数並んでいましたし、近所の方を中心に根っからの映画好きの人が集まっているようでした。

しかし、当地に住んで10数年、すぐ近くにこんな映画館があったとはなあ。。。
新鮮な驚きでした。

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映画「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」

2010-05-02 00:31:11 | 映画

映画「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」
★★★★:75~80点

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「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」を見てきました。◎◎割引です(^_^;

1月に見た映画「のだめカンタービレ 最終章 前編」は、音楽+ヨーロッパの街並み、建物+のだめ、千秋たちの魅力満開で85点という高い評価をしました。

前編が「千秋先輩」編であったことから、後編が「のだめ」編となることは予想できましたが、前編よりややシリアス調で、コミカル&楽しいシーンも前作よりは少な目でした。というよりも、コミカル&楽しいシーンは結構たくさんあったのですが、その表現方法が前編とほぼ同じだったので、やや目新しさに欠けた気がしました。全体的には大人向きで、前編との対比で地味目の作品になっていたと言えるでしょうか。私の場合、そのあたりが若干の減点対象となりました。ですが、想像以上にのだめの苦悩と焦り(裏返しとして、音楽への思い)、千秋先輩への想い、千秋ののだめへの想いなどがきちんと描かれ、音楽シーンは前編以上に丁寧に作られ、音楽映画&ラブ・ストーリーとしては実によくできていたと思います。

演奏シーンは見事のひとこと!コンサートシーンでの”のだめ”(上野樹里)のピアノ、コンクールシーンでの清良(水川あさみ)のヴァイオリンは、よくある手アップ&顔のクローズアップ(手元は映さない)の切り替えとは異なり、顔から手元にかけて連続で映したりなども多かったですね。音なしなので、練習さえすれば動きは真似できるのかもしれませんが、それでも素晴らしかったです。役者根性を見たような気がしました。

また、千秋の指揮ぶりも随分上達したもんだと思いました(^_^)。回想シーンで出てきたSオケ・コンサートでの指揮など素人っぽさ丸出し(わざと?)でしたから。

妙に印象的だったのは、のだめがシュトレーゼマンからコンサートでの共演(協奏曲)に誘われるシーンで、その神秘的というか幻想的な雰囲気が「オペラ座の怪人」でヒロイン・クリスティーヌが怪人に地下に誘われるシーンを思い出させ、魔法陣(?)が出てくるCGは「ダヴィンチ・コード」みたい?と思いました。

のだめの衝撃的なコンチェルト・デビューがあったので、憧れの千秋先輩との共演は、あるとしてもちょっと違う形になるだろうなあ(例えば仲間内だけでの場で共演とか・・・)と思いましたが、モーツァルトの「2台のピアノのためのソナタ」を持ってきましたか。なるほどなあ。これでお互いの想いを確かめあうことになる、お洒落で素敵なシーンでした。のだめの表情が次第に柔らかくなると共に、千秋と音楽を作り上げる喜びがよく表れていました。また、終盤ではのだめが急に(?)大人びた感じになるのも面白かったです。エンディング、橋の上での長いキス・シーン(次第にロングシ・ョットに)も素晴らしい。それにしても、”のだめ=上野樹里” としか言いようのない熱演っぷりには拍手喝采です。

P.S.
 のだめがシュトレーゼマンと共演したプラハの市民会館は私の大好きな
 建物で、プラハ・ウィーン旅行の際にそこのスメタナホールでコンサートも
 聞いたので、懐かしく嬉しかったです。

 http://blog.goo.ne.jp/hirohiro009/d/20080322
 http://blog.goo.ne.jp/hirohiro009/d/20080324

◎参考ブログ

   そらさんの”日だまりで読書”

      ラストシーンについての感想は同感!

   コルクさんの”みかんの缶詰。”

      細かな感想は、かなりコルクさんと似通っていますね。

また、前作同様、映画に登場する名曲の数々はナクソス公式ブログ第3番「調子の悪い鍛冶屋」の”映画「のだめカンタービレ 最終楽章後編」登場曲リスト♪ ”から曲名をコピーさせて頂きました。ありがとうございました。☆は私が良いと思った曲です。今回は協奏曲が多いですね。

 ☆ベートーヴェン: 交響曲第7番 - 第1楽章(ピアノ編)
   リムスキー=コルサコフ: 熊蜂の飛行
     J.シュトラウス2世: トリッチ・トラッチ・ポルカ
     ヴィヴァルディ: 「四季」より冬 - 第2楽章
     ハイドン: 弦楽四重奏曲第77番「皇帝」:第2楽章
        「神よ、皇帝フランツを守りたまえ」
     リール: フランス共和国国歌「ラ・マルセイエーズ」
 ☆ブラームス: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
 ☆モーツァルト: クラリネット協奏曲 - 第2楽章
 ☆ラヴェル: ピアノ協奏曲 - 第1楽章
   ☆ショパン: ピアノ協奏曲第1番 - 第2楽章「ロマンツァ・ラルゲット」
   ショパン: ピアノ・ソナタ第3番
 ☆ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第31番
   ベートーヴェン: 交響曲第7番 - 第3楽章
 ☆マーラー: 交響曲第5番 - 第4楽章
   ヴィヴァルディ: 「四季」より夏 - 第3楽章
 ☆ショパン: ピアノ協奏曲第1番
   マスカーニ: 歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」 - 間奏曲
 ☆ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第8番「悲愴」 - 第2楽章
 ☆モーツァルト: 2台のピアノのためのソナタ K448 - 第1楽章
   ガーシュウィン: ラプソディー・イン・ブルー