県はでたらめな経済論を振りまくな





「日本はどこへ」では、県民総所得に占める割合は5・3%であり、県経済に大きな影響はないというような印象を与えている。
2009年度の産業別生産額でみると、
工業製品出5480億7550万円
観光収入3778億円
農業  920億円
となっている。
2008年度基地関連収入は2084億円だと述べているので。基地関連収入2084億円は観光収入3778億円に次ぐ収入であり、在沖米軍の兵士や家族が使う金や島田懇、振興策等を含めると4206億6100万円とも言われている。基地関連の収入は観光業収入に匹敵するかそれ以上のものであり、決して基地収入は軽視できないものである。

上原副知事は「軍用地主や基地従業員の問題はあるが、声の大きな少数派にすぎない。トータルでは基地がないほうが間違いなくいい」と断言している。基地収入を県民総所得に占める割合にすると比率は小さくなる。それは工業製品や観光収入も同じである。基地収入だけを県民総所得と比べたのは、基地経済は小さいという印象与えるためである。

基地はベトナム戦争以後縮小し続けているし、中国や北朝鮮の危機がなくなればアメリカ軍は沖縄から引きあげる。現に嘉手納飛行場以南の軍事基地の撤退と在沖海兵隊8000人の撤去を計画している。沖縄がずっと基地経済に頼るわけにいかないのは当然である。基地経済は普通の経済のように再生産をして発展することもない。だから、基地経済からの脱却は沖縄の大きな課題である。
しかし、だからといって基地経済を矮小化してしまうのはおかしい。基地経済は正しく評価すべきであり、評価したうえで基地収入に匹敵する産業収入を作り出していかなければならない。

ところが、上原副知事は「軍用地や基地従業員の問題はあるが、声の大きな少数派にすぎない。トータルでは基地がないほうがいい」と豪語する。上原副知事が豪語する根拠になっているひとつに「那覇新都心」の生産誘発額(生産誘発額という専門用語を使ったのはなぜか)が874億2000に上ったことにある。「那覇新都心」を参考に米軍普天間飛行場が返還されたら1兆7000億円の生産誘発額が見込まれるというのだ。もし県の主張するようにそれが県全体の経済発展であれば素晴らしいことであ。しかし、那覇新都心の経済は消費者の購買力が左右する経済であり、バラ色的なものではない。

二段目の表は2010年度の主要市町村における購買人口および吸引指数の表である。注目してほしいのは北谷町と沖縄市である。北谷町が3・01に対して沖縄市は0・36である。これは沖縄市の住民が北谷町の美浜ニュータウンに流れていることを示している。美浜ニュータウンの商圏内に入る宜野湾市や嘉手納町も吸引指数1以下であるはずである。
「那覇新都心」に大型ショッピングセンターなどが進出して売り上げを伸ばしたのなら、那覇市内の別の地域や浦添市の売り上げが落ちているはずである。表では北谷町の吸引指数は落ちている。原因は読谷にイオンタウンができて読谷村や嘉手納町で美浜ニュータウン行く住民が減ったことや他の地域でも新しいショッピングセンターができて美浜ニュータウンに行く人間が減ったことが原因であるに違いない。このようにショッピングセンター等の商品販売業の場合は一方の売り上げが伸びれば他方の売り上げが落ちるという相関関係があり、県全体の経済が伸びるわけではない。

県は那覇新都心を参考に普天間飛行場が返還されたら合計1兆7000億円の生産誘発額が見込んでいるというが、米普天間飛行場跡に那覇新都心のよう街ができても宜野湾市は那覇ほどの経済力も人口密度も低いし、交通も那覇新都心ほど便利ではないから那覇新都心ほどの経済成長は期待できない。それに、普天間飛行場跡の新都心の売り上げが伸びた分だけ、北谷町や浦添市、中城村、西原町などの売り上げが落ちるだろう。

政治が間違った経済論が経済政策を実施すれば、経済は反逆する。仲井間知事は「土地が返還されれば商業化し、大きな経済効果を生むことができる」と断言している。那覇新都心は沖縄の中心都市である那覇にあったから商業化が成功したのである。読谷飛行場も変換されたが、読谷飛行場は役所と畑と荒地だけである。4月に行われた県民大会を読谷飛行場で行われたが、なにもない大きい広場だから県民大会ができた。読谷飛行場は経済効果が那覇新都心とは比べようもないくらいに低い場所である。
読谷飛行場にも那覇新都心のような街をつくれは874億円の経済効果があるというのだろうか。馬鹿げた経済論である。

「土地が返還されれば商業化し、大きな経済効果を生むことができる」という考えで政治をやったら沖縄の将来は悲惨である。

沖縄の経済を成長させるのは那覇新都心型の経済ではない。IT産業やベンチャー企業の増加と成長である。沖縄では政府の援助を受けたベンチャー企業がどんどん増えている。しかし、どのベンチャー企業も苦戦している。県はもっとベンチャー企業の育成に力を注ぐべきだ。ベンチャー企業をバックアップしているのは県よりも政府である。県よりも政府のほうが沖縄経済の発展に貢献しているのは残念なことである。
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