予算委員会の革命だ

衆院郵政特別委で質疑に立つ佐藤ゆかり議員
 
 自民党が圧勝した衆院選を象徴する「小泉チルドレン」の3人が7日の衆院郵政民営化特別委員会で、国会デビューした。

 衆院選で郵政民営化関連法案の反対票組への「刺客」候補として擁立された3人は今回、民主党の対案を批判する役目を担って論戦に臨んだ。小泉首相も見守る中、そのお手並みは――。

 今回、質問者に起用された自民党の新人議員は、元財務官僚の片山さつき(静岡7区)、エコノミストの佐藤ゆかり(比例東海)、元日本郵政公社部長の赤沢亮正(鳥取2区)の3氏。

 「なにぶん、新人ですのでよろしくお願いします」

 ベージュ色のスーツ姿の片山氏は冒頭、新人らしい初々しさをちらりと見せつつ、神妙に切り出した。しかし、すぐに身ぶりを交えながら、「民主党案は今までの党のご主張とは大きく食い違っている」と声を張り上げた。

 民主党の答弁者、ベテランの仙谷由人・前政調会長は余裕の表情で、「ご質問頂き、ありがとうございます」と語り、民主党の方針を長々と説明し始めた。

 事前に想定した時間配分を崩された片山氏は、腕時計を見るなど、イライラした様子がありあり。仙谷氏の答弁が終わると、経営試算の数字を早口でまくし立て、民主党案の問題点を指摘。最後に、「(民主党案の)簡易保険の民営化は実現性に技術的な困難が多い。郵便貯金は実質100%官営で、民業圧迫のチェックもない」と強調した。

・・・・ヒジャイ・・・・
 ベテラン仙谷氏の答弁はだらだらと答えにならない答え方でつまらない。片山氏と民主党若手の討論は新鮮でおもしろかった。歯に衣着せぬストレートにぶつかり合う討論は聞き応えがある。これからも民主党が立案した法案についての質疑応答をやってもらいたい。
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 次に質問に立った佐藤氏は薄いグレーのスーツ姿で、手にした質問原稿を淡々と読み上げるスタイル。

 エコノミストらしく、経営の細かい指標を示し、「民主党案の官から民への施策は抽象論だ。自己矛盾だらけだ」と批判した。

 これに対し、元財務官僚の民主党の永田寿康氏は答弁で、「政治家は主計官でもなければエコノミストでもない。大枠の理念を語り合う場にしましょうよ」と“精神論”で反撃した。

・・・・ヒジャイ・・・・

 小泉チルドレンとか揶揄するが、今度の新人には有能な議員が多い。佐藤氏が55年体制を離脱して新しい政治システムとして今度のような野党立案に対しての質疑応答をする予算委員会を続けてほしいと言ったのは印象深い。

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 赤沢氏は「最近まで(日本郵政)公社に身を置いていた者として、どうしても指摘させていただきたい」と前置きし、「民主党案の郵便事業部分は出発点にも立てていない法案だ」と激しく批判した。

・・・ヒジャイ・・・
 新人三人の中で一番光ったのが赤沢氏だった。公社出身であることを差し引いても頭が切れ、論争に強い。

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 この間、小泉首相はほとんど目を閉じて質疑に聞き入っていた。民主党案への感想を求められると、皮肉たっぷりに語った。

 「民主党の皆さんの答弁を聞いていると、(自分が)批判することには慣れていても、批判されるとカッカする点は少しは勉強になったのではないか」

・・・・ヒジャイ・・・・

 野党である民主党を答弁する側に立たせて質疑応答するのは初めてのことではないだろうか。もし、これからもこのように民主党の対案に対して質疑応答をやるのなら政治はもっと活性化するし、国民の関心も強まることは間違いない。
 自民党案と民主党案のどちらがいいか理解しやすくなる。それに今回のように民主党案に対して自民党の若手をぶつけるのは若い政治家の成長を促進する。世代交代を早める原動力にもなると思う。

 予算委員会で野党の立案に与党が質疑するというのは予算委員会の革命と言ってもいい。今では当たり前になっているが、小泉首相以前の予算委員会は官僚が作成した答弁書を棒読みするだけであり、質問する側も作文を棒読みしていた。それを小泉首相は作文なしの質疑応答に変えた。それから予算委員会も活発な議論が交わされるようになった。

 予算委員会変革の第二段が今回の野党立案への与党の質疑応答である。これは歴史的なことである。

 
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