続: engineer BRUNELの仕事・・・・橋とは何か

2011-10-04 18:23:00 | 建物づくり一般
「とり急ぎ:村上東海村村長の見解」:「この国は・・・・」に改題に、毎日新聞に載った石牟礼道子氏へのインタビュー記事を転載しました。[8日 17.42]
その中に「偉い人とは、人情がわかる人という意味」という石牟礼氏の言葉が出てきます。本当はそうの筈なのです。[文言追加 8日 18.12]

また、9日付東京新聞社説「住民の論理で復興を」も、転載しました。 [9日 14.40]
この内容に関連する当ブログの記事にリンク。[9日 16.40]
10日付毎日新聞「風知草」を転載しました。[10日 19.45]

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BRIDGES から、engineer BRUNEL のつくった吊り橋を紹介。
工事中と現況の写真が載っていました。





橋というのは、「用」がきわめて明解です。
簡単に言えば、こっちからあっちへ渡る。
だからと言って、かつての橋には、今の橋のように、架ける場所がどこでもよい、というような橋はなかった、と言ってよいでしょう。

今の橋の「典型」は、高速道路や新幹線の橋。
これらの橋は、「そこ」を通る必然性がない。
もちろん、今の「技術者」は、そんなことはない、立派な理由がある、と言うに違いありません。
どういう理由か?
A地からB地へ向うのに、「そこ」を通るのが最短だから、あるいは、「そこ」を通るルートでつくるのがコストがかからないから・・・、といった類の理由です。
つまり、「そこ」とは関係のない「理由」。
リニア新幹線のルートなど、まさにその「典型」。
唐木順三 氏の表現を借りれば、「途中の喪失」です。

かつての「橋」は、そういうようなことはなかった。
「そこ」を通る「謂れ」、「そこ」との明瞭な関係のある「謂れ」があったのです。
それは、「道」が「『そこ』を通らなければならない」からです。
その道の「一部」をなすのが、すなわち「橋」

そしてそこには、「道」とは何か、ということについて、現在とは異なる「認識」があったからだ、と言えるでしょう。
   それについては、
    「道・・・・どのように生まれるのか」
    「建物をつくるとはどういうことか・・・・続・世界の広がりかた」
    「鉄道の敷設:その意味」
   などで、簡単に触れています。
   そして、
    「建物をつくるとはどういうことか-16・・・・『求利』よりも『究理』を」
   も参照ください。[追加 6日 23.47]


要するに、往時、道は、そのルートすべてにわたって、
そのルートでなければならない「謂れ」があった
のです。
しかし、今はそのような「認識」が失せてしまっている。
だからこそ《カーナビ》が流行るのです。

そして、ここに、「現代の工学的設計」の「思想」が、典型的に現れている、と言えるでしょう。
「工学的設計」の最先端が、原発の立地選定、さらには、原発そのものを是とする「工学的設計思想」に他ならないのです。
   「工学的設計」については、下記でその「性格」について触れました。
    「想像を絶する『想定外』」

   国会で、国会のありようを糾弾した児玉氏は、それをして、「科学者が政治家、経済人になった」と言いました。
   しかしそれでは、本当の政治家や経済人の立つ瀬がない(いるかどうかは別として・・・)。
   私の言い方で言えば、「銭儲け」がすべての「判断・《評価》の基準」になった。
   それをして《合理化》という。

なぜ、こういう「状況」になってしまったか。
私は、[「部分」の足し算=「全体」]と見なす「考え方」にその根がある、と思っています。
それはすなわち、「一科一学」の「思想」の行き着いた先。
「専門家」は他の誰よりもすぐれているのだ、と思い込んで(本人も、そしてまわりも)何の違和感も感じない、そういう「思想」。
つまり、(日本の)「近・現代」をつくってきてしまった「思想」。


BRUNEL とは関係はありませんが、BRIDGES に載っている見事な鉄道橋を転載します。
19世紀のアメリカでつくられた橋です。鉄材を使っています。解説もそのまま付します。

これも、「構造力学」未発達の時代の建設。すごいです!発想が自由です。奔放です。
今の「構造の専門家」(特に若い方がた)は、こういうことができるのでしょうか?
おそらく、あの部材はムダだ、こうした方がよい・・・などと、御託をならべるに違いありません。


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