避難発令ないままに死者・行方不明者多数発生

 今日の神奈川新聞に、台風12号による豪雨が襲った紀伊半島で、避難勧告や避難指示が出されないままに、多くの方が亡くなったり行方不明となっているとの記事が掲載されていた(23面)。和歌山県では47人の死者の内27人が、奈良県では11人の死者全員が、避難指示がされていない地区の住人であったという。

 

 翻って台風15号が直撃した名古屋市では、全人口の半分近くに当たる70万世帯109万人に避難勧告(その内8万人には避難指示)が出されたそうだが、実際に避難所等に避難したのは極々僅かであったとの報道がなされていた。

 

 台風12号の際に避難発令がないまま多数の方が犠牲になったのが事実だとすれば、避けられたはずの最悪の事態を免れることが出来なかったのは、行政の不作為によるものだとして、遺族・関係者が今後提訴する可能性だってあるかも知れない。

 

 市民の安全を考えつつ、そんなことをも踏まえての事なのだろう、台風15号の直撃を受けた名古屋市は早々と109万人に避難勧告を出した。しかしだ、避難勧告を出しさえすれば市民の安全が確保されたり、訴訟リスクを避けられるわけでは勿論ない。

 

 第一にだ、109万人が避難できる避難所を、名古屋市は用意していたのか。人口3千人の村ならいざ知らず、日本で3番目の大都市(東京都区部を除く)、220万人が暮らす名古屋市で、100万人分の避難所が確保出来ているなどとは、到底考えられない。仮に1/1010万人分避難場所が確保されていたとしても、果たしてその避難場所、つまり公民館や公立学校の体育館が、安全だと云う保証があるのだろうか。3.11大震災では、避難所の天井や壁が余震で崩落した話など、いくらでもあるではないか。

 

注:名古屋市の人口は約220万人だが、昼間人口(仕事や学校のために市外から流入してきた人を含む人口)は常住人口(本来の住民)の15%増しの250万人と云われている。

 

 結局は、行政による避難指示だとか、行政が指定した避難場所だとかではなく、危険だと思えば安全だと思われる場所に、自分自身の判断で避難するしかないと云う事だ。行政頼りでは自分や自分の家族の安全を守ることはできないのだが、大都市においては、避難場所を見つけ、確保することだって困難を極めることになるから、安全だと「信じることにして」、結局は近所の学校に避難するしかないのである。やれやれ。

 

 

 例によって記事本文とは何の関係もない今日の一枚は、今にも弾けそうな、これ。稲刈りシーズン到来と云う事は、栗もまた収穫時期を迎えたという事ですね。

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