今川焼き、大判焼き、回転焼き、太鼓焼き、そして金鍔

 面白い文庫本を見つけた。本そのものについては後日紹介しようと思うが、郷秋<Gauche>的にはblogの「ネタ本」としては絶好である。ではさっそく「ネタ」にさせていただこう(^^)

 有名なところでは、ハンバーガーのマクドナルドが首都圏では「マック」と呼ばれ、関西では「マクド」と呼ばれるなど、同じの物を指す言葉が地域によって変化することは良く知られている。勿論日本各地に「方言」と呼ばれる、その地域特有の言葉(言い方やイントネーション)が存在しているわけだが、そう云う意味では「マック」や「マクド」も新たな方言の出現と云えるのかも知れない。この「ネタ本」では、同じ物の呼び方が全国47都道府県でどのように変化しているかを沢山紹介しているのだが、今日はその中から「今川焼」の“問題”を取り上げる。

 郷秋<Gauche>は18歳で東京に出て来るまで「今川焼き」と云う食べ物を知らなかった。正確に云えば、知らなかったのは「今川焼き」と云う言葉であって、そう云う食べ物を食べたことはあった。

 「今川焼き」とは、新明解国語辞典第4版によれば「水に溶いた小麦粉を、平たい長円形の焼き型に流し、あんを入れて焼いた菓子。(広義では、円形の「太鼓焼き」と称するものをも含む)」であるらしい。日本人の98%は知っているだろう、最もポピュラーな和菓子(和菓子と云ってはまずければ、伝統菓子)であるが、その定義に「広義」や「狭義」があり、その狭義においては(新明解国語辞典第4版的にはということだが)今川焼きと大判焼きとが別物であったとは、郷秋<Gauche>は初めて知ったぞ。

 さて、その広義の今川焼の呼び方だが、件の本に拠れば、郷秋<Gauche>のふるさと福島は今川焼きでも回転焼きでも大判焼でもない「その他(と混在)」に分類されている。では福島県では何と呼んでいるかと云うと「金鍔(焼き)」(きんつば)である。試しに「きんつば」を新明解国語辞典第4版で引いてみるとちゃんと載っていて、そこには「薄く伸ばした小麦粉であんを包み、鉄板の上で刀の鍔型(長方形)に焼いた菓子。今川焼きに似たもの。(現在普通に言う金鍔は、昔「銀鍔」と言ったもので、皮は米の粉で作った薄皮のものをさす)。とある。なるほど。

 福島県(少なくとも中通り地方の)「きんつば」は、新明解国語辞典第4版云うところの「太鼓焼き」である。そして同時に昔は銀鍔と呼ばれた、あんを米の粉で作った薄皮で包んだもの(実際には片栗粉で寄せて長方体に切った粒あんに水で溶いた米粉をつけて鉄板の上で六面を焼いたものだろう)もまた「きんつば」と呼んでいるから紛らわしい。

 と、前段までは実は昨晩寝る前に書いて、先ほど、夕べは読んでいなかった巻頭の「読者の皆さんへ」を読んだら、僅か3ページ程の中に「マック」と「マクド」の事や(ちなみの郷秋<Gauche>が使っているIME Standard2003では「まっく」と打つと「マック」に変換されるが「まくど」と打っても「マクド」とは変換されない)、「今川焼き」と「大判焼き」の事、「新しい方言」(郷秋<Gauche>は「新たな方言」と書いた)について書かれていた。どうやら郷秋<Gauche>は、監修者の文字通り「思う壺にはまり」、実に正しく読んでいたらしい(^^;。


 例よって今日の一枚は、記事本文とは何の関係もないすみよしの森の紫陽花。紫陽花って、強めに剪定すると2、3年花をつけなくなってしまうんですね。ここの紫陽花も昨年から少し花を付けるようになり、今年になってようやく以前のような花を楽しめるようになりました。
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