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猪苗代第一発電所(その1)

 夏休みで帰省した折りに、郷里にある発電所の幾つかを見てきた。そのうちの一つが、一昨日に記事と写真を、そし昨日は写真のみをご覧いただいた郡山布引高原風力発電所だ。

 今年営業運転を始めたばかりの、環境問題がかまびすしい現代にいかにも相応しい風力発電所を訪ねた前日に、実は、1914年(大正3)に完成した、かつて花形であった水力発電所、猪苗代第一発電所を見てきている。猪苗代第一発電所は、流れ込む川は多い猪苗代湖の唯一の自然の出口である日橋側へ流れ込む水を堰き止め、その水を利用した発電所である。

 1912年(明治45)に着工し、3年後の1914年(大正3)完成当時の37,500kWの発電量は東洋一、世界でも3番目の規模を誇るものであったという。現在は62,400kWに増強されているが、同じ福島県内にある下郷発電所など1,000,000kW級の大規模水力発電所と比べると、小規模ともいえる。
 

 最初の1枚は、猪苗代湖から流出する日橋川を堰き止める「十六橋」(じゅうろくきょう。正式名称は安積疏水十六橋制水門)。この堰は1880年(明治13)に造られている。発電所ができる30年以上前に出来ているわけだから、発電所用水取水のために造られたものではなく、正式名称からもわかるとおり、実は十六橋付近から見ると猪苗代湖の東の対岸(直線距離で約12km)にある「安積疎水」取水のために猪苗代湖の水面高を調整する目的で設けられたものである。

 つまり、それまで湖へ流入する河川の水量に合わせて、自然に日橋川に流出していた水を、十六橋で堰き止めることで水面高を一定に調整し安積疎水側に流出するようにしたものなのである。十六橋が出来た時点で、猪苗代湖は自然の湖から安積疎水取水のためのダム湖となったと言っても良いのかも知れない。
 

 十六橋から湖側を見る。この静かな小湖水の正面奥に日本で4番目に大きい猪苗代湖が広がっている。完成当時の十六橋は人道橋も兼ねていたが、現在は近代土木遺産に指定され渡ることは出来ないが、その湖側に新たな橋が架けられ、人と乗用車程度なら通行できるようになっている。
 

 十六橋を下流側から見る。堰き止められているため、本来の日橋川は枯れている。手前の水門から流れている水が、発電所へと導かれることになる。(続く)
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