福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

カリオロジーって何?

2006-04-15 | むし歯予防の話
最近のコマーシャルで、予防歯科とかカリオロジーとか最近の歯科の流れを象徴するような言葉がテレビで聞かれるようになりました。Cariology と書きますが、Caries(カリエス)とは歯科用語ではむし歯のことをいいます。従ってカリオロジーとはむし歯学と訳せるわけですね。むし歯の原因や発生、進行、むし歯菌の感染、初期のむし歯はストップしたり元に戻る再石灰化、フッ素やキシリトールなどのむし歯予防効果などを総合した学問と言えます。以前から研究としてのむし歯学はあったわけですが、これがだんだん臨床でそして日常でどのようにしたら良いのかというレベルまで降りてきたのが、1990年代前半位と思います。これはクリニカルカリオロジー(臨床的むし歯学)と呼ばれています。以前はこれらのことが臨床的には生かされていませんでしたので、むし歯ができたら削って詰める、被せるということを歯科医は延々とやって来たし、当然患者さんもそういうものだと思っていた。むし歯は、歯が溶けていく脱灰と、唾液中のミネラルやフッ素によってもとに戻ろうとする再石灰化との間でで揺れ動いているものだということが分かってきましたので、再石灰化優位にすれば見た目はむし歯にならない、ないしはむし歯が進行しないわけです。
乳幼児のむし歯も、以前は早期発見早期治療で、子ども、保護者、歯科医皆が大変でした(特にこどもはかわいそうでした)。最近はカリオロジーの発展のおかげで、早期発見、虫歯リスクを下げる、経過観察と適時治療ということが可能になってきました。2歳で治療するより、むし歯に何とかストップかけて3歳で治療したほうが当然楽なわけです。むし歯リスクを下げるために、歯科医側と患者さん側各々が何ができるか、予防メニューを作成して実行をサポートするという歯科医の仕事が重要になってきていると思います。大きいむし歯はすぐに治療ということにはならざるを得ないのですが、お口全体で考えると随分無理がなくなって来たことは実感しています。
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歯の質には個人差があるの?

2006-04-14 | むし歯予防の話
「私は歯の質が弱くって~」とか「歯医者さんから、歯の質が弱いようだからと言われました」とか、むし歯が多い場合に患者さんとの会話で出てくることがあります。見た感じで「歯の質が弱い」と判断できる歯医者さんはどんな人か興味があります。ちょっと怪しいかも。確かにエナメル質形成不全といって、部分的に白濁しており、歯の形成過程でエナメル質がうまく結晶化していない部分がみられるのは珍しいことではありません。単発的に発生し原因も不明なことが多く、その部分に限っては歯の質が弱いので、歯みがきを意識したりフッ素を塗ってむし歯リスクを下げるという方法で対処できます。
歯科業界の怠慢なのかもしれませんが、実は、歯の質の個人差があることを実証した論文はありません。個人差があるような気もしますが、証拠がないというのが現状です。もちろんフッ素を塗ることで歯の質は向上するわけですが。
現在わかっていることから判断すると、虫歯菌の多さ、唾液の量と質、歯並びや歯の形(かみ合わせ部分の溝の深さや、歯と歯の間がつまっているかなど)、フッ素の環境、もちろん食生活や歯みがき習慣などの個人差がむし歯の発生にかかわっていると考えられます。
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どんな歯ブラシがいいの?(手動の場合)

2006-04-12 | 歯みがきのこと
歯みがきしやすい、仕上げみがきしやすい歯ブラシはやはりありますね。一方で、どうもうまくいかないなと感じる歯ブラシもあります。何でそうなのかな~と、一応プロですので分析をしたりします。各々の患者さんが使いやすいというものでいいんじゃない?というのは結構当ってます。使いやすい歯ブラシには結構共通項があって、握り手の部分が良いというのと、ブラシの部分が奥までみがきやすいとか、毛の硬さが丁度いいとかいうのがあると思います。握り手の部分は個人の好みも結構あるかと思いますが、ブラシの部分は多分これが良いといえる基準があります。
通常、歯ブラシの植毛部の幅や長さ、つまり大きさを見て、小児用、学童用、成人用とか判断しませんか。メーカーの記載している○○用とか○歳~△歳というのもこれに合致しています。加えて大切なのが、毛の長さ、太さ、密度です。特に小児・学童用は毛の長さは短め、毛の太さは普通かやや細め、毛を密に植毛してあるものがベターです。歯みがき指導は、小刻みな横みがきのスクラビング法を指導することが多いのですが、毛が長かったりバラバラ植毛ではヘッドの部分を動かしても歯に当っている毛先部分はあまり動いていない「へなちょこ」状態で、清掃効果が不十分です。やや細めの毛でも密に植毛してあることで、全体的に弾力性があるというかコシがあります。毛が長いと奥歯部分はみがきにくくなりますので、トータルに薄くするという発想で、ヘッド部分のプラスチックを薄くしたものも登場しています。歯ブラシは単に大きさでチェックするのではなく、横から見てみて下さい。
また握り手の大きさですが、乳幼児の保護者みがき用と称して、毛の部分は小さいけれども握り手が長いものがあり、ちょっと見るとなるほど~とか思ったりします。しかし、乳幼児の仕上げみがきは子どもがいやがることが多いので、ペングリップで短めに握ってみがくのが安定しますから、長い握り手は不要ということになります。乳幼児の本人用を使用すれば充分ではないでしょうか。
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アクロバティック歯みがき

2006-04-11 | 歯みがきのこと

次男が3歳の頃の写真が出てきました。この頃は兄弟ともにソファーベッドで逆立ちしてみがいた後に、仕上げみがきをしていましたね~。ちょっと皆にお勧めはしませんが、上の歯の仕上げみがきは確かにしやすい。

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キシリトールはなぜ流行る?

2006-04-10 | 食のこと
当院の下(1階)はスーパーマーケットで、夕方4時頃になると診療室まで惣菜やさんの焼き魚の匂いが漂ってきます。焼き魚の匂いで、4時か?とか時刻を確認したりしています。昼休みなどに、ちょっとおやつコーナーを覗いたりすると、ガムをはじめとして、キシリトール入りおやつを結構見つけます。実は過去にもノンシュガー(人工甘味料)は種々あったわけで、ダイエット○○などの清涼飲料水の甘味のもとであるアスパルテームはカロリーゼロということもあって、むし歯菌も食わないというか、虫歯の原因はつくりません。基本的に炭酸飲料の炭酸ではむし歯はできませんので、コーラをはじめとする炭酸飲料好きには、私の予防レシピーとしては、まずレギュラー系からダイエット系に変えたらどうかと薦めています。
キシリトールはなぜ流行る?なぜ売れる?という答えは、甘いのにむし歯の原因にならないばかりか、むし歯予防になるという、他との違いではないでしょうか。初期のむし歯を元に戻す再石灰化の力、虫歯菌の数を減少させる力があるわけですが、実は1日5回くらい100%キシリトールガムを噛まないと有意差がでないそうです。
本家のフィンランドはむし歯が少ない国のひとつですが、幼児を持つ母親にキシリトールガムプログラムを行って、虫歯菌の母子感染がかなり減少し、結果子どものむし歯が減少しています。
通常ガムを噛む習慣がある人は何とかできそうなプログラムですが、保護者の虫歯菌を減らすには日常の丁寧な歯みがきや歯科医院での歯のクリーニングなどの方法もありますので、あえて1日5回のガム習慣をつけるようにしたものか? 理屈はわかるけど、ちょっと迷うところです。また、むし歯予防ということで、小さい子どもたちにキシリトール(ガム)を薦めたものか? キシリトールは砂糖に似た甘さがあるゆえに、他の甘いものも食べたがる、悪い意味でのHalo Effect (後光効果)の恐れがあるのではないでしょうか。キシリトールが出はじめの頃、小児歯科の虫歯予防では第1人者の岡山大学、下野教授とお話した折に、同様な意見をお持ちでしたのでほっとした記憶があります。
ちなみに、キシリトールはノンカロリーではなく、砂糖の75%のカロリーを持っていますのでお気をつけください。
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いつ頃から歯みがきを始めるの?

2006-04-03 | 歯みがきのこと
このような質問を、初めての子どもを持つ保護者(特に母親)から受けることがあります。他の知り合いの歯科医師や歯科衛生士に同じ質問をしてみると、歯が出てきたら始めるという人もいますが、こういう理由でこんなふうに考えるとか、このように話しているとか明確な答えを意外ともらえません。いわゆる不得意分野の素朴な質問のひとつと思います。
乳歯は7か月前後に下の前歯から出てくるのが平均的ですが、初めて出てきた歯を愛しみ、他の育児と同様に子どもをケアする気持ちで捉えると、歯が出てきたらガーゼでも歯ブラシでも良いのでみがいてあげるのは良いでしょう。
実質的に考えると、私は上の前歯4本が出揃う1歳2か月頃を歯みがきを始める時期とお話ししています。母親から子どもへ虫歯菌が感染する時期は1歳半位からといわれており、最近のむし歯が減少して来ている状況では、2歳半ば位までのむし歯は、上の前歯外側の歯の生え際か歯間に限られます。1歳半前後から特に上の前歯付近の虫歯リスクが次第に上がっていくわけですから、前歯が出揃ったところで、歯磨きのトレーニングを開始して仕上げ磨きに慣れていくという次第です。この時期に始めると1歳半頃にはおりこうに仕上げ磨きさせるのかな~とか思ったりしますが、子ども側はこの時期自我の発達途中ということもあって、おりこうにできるようになることはあまり期待できませんので、親のトレーニングと考えたほうが適切かも知れません。
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