乳歯のケガの永久歯への影響ですが、低年齢程出やすいと言えます。
永久歯の表面に白濁した形成不全が発生したり、形成中の永久歯の位置異常が発生することがあります。
外傷は、上の前歯部分が圧倒的に多いんですが、上の永久切歯の歯冠部分は3歳ころ形成が終了します。
なので、それ以降の年齢であれば、影響の確率は小さくなります。
この患者さんは、非常に低年齢の1歳過ぎに上の前歯を外傷して、神経の処置まで必要でした。
まだ、乳歯の根は完成していない時期です。
永久歯前歯は生まれてすぐ頃から形成が始まるので、うっすらと見えます。
その後、乳歯自体はサバイバルして生え変わりが近くなりました。
後の永久歯は、まだ根が形成途中ですが、左右で形態が違って見えますね。
低年齢での外傷の影響で、まだ形成始まったばかりの永久歯の位置がズレて、このX線撮影時では根の形成途中です。
例えば歯冠が外側に傾斜しても、根は上方に形成されるので、歯冠歯根が屈曲したようになります。
正常に生え変わりにくい状況が明らかになって、その後乳歯は抜歯しましたが、現在9歳で、やはり永久歯は微妙に出にくい状況が続いています。
歯の先が透けて見えていますが、現時点では自力で出て来ません。
歯冠歯根の屈曲の可能性が大きいですね。歯根の形成がほぼ終了しているので、歯が自力で出るパワーも無くなってきます。
形成初期の乳歯外傷なので、永久歯の歯冠形態の異常も発生しているかもしれません。
CTで診査すればより3Dで明らかになりますが、多分、近未来に矯正的に歯を誘導することになるでしょう。
このような異常は、歯が骨の中に位置する時点で発生するため、改善する方策が無いのが現実で、悩ましいところです。
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