先日小学校4年生でむし歯の重症な患者さんが当院を訪れました。乳歯奥歯のむし歯がひどかったのですが、出て間もない永久歯奥歯も、治療途中でそのままになっていました。
このブログには虫歯予防の話など結構書いていますが、わたくし的には「乳歯のむし歯ゼロを目指しましょう!!」まで言うつもりはありません。低年齢でむし歯進行が早いと子どもにとって治療が大変と思いますので、あまり早々とむし歯ができるのはかわいそうです。多少のむし歯は痛いとか、永久歯に悪影響がでるとか云うことはないのですが、実は多少のむし歯レベルで止めておくことが難しく、乳歯ではあっという間に大きくなりやすい。ですから結果的にはある段階でむし歯にストップをかける、ないしは削って治療することが必要になります。
小児歯科医の私が言うのも変ですが、「乳歯はそのうち生えかわります」。でも、「それまで、後の永久歯に影響が出ない範囲で何とかしとかなきゃ」と思います。「たかが、されど」ではないでしょうか。
この患者さんの左下奥歯のX線写真ですが、乳歯の一番奥歯(第2乳臼歯)がむし歯がひどくて、抜かれています。その場所に両隣の永久歯が倒れこんでしまい、その下にある第2小臼歯の出るスペースが無くなっています。これが乳歯のむし歯が永久歯に影響する1例です。X線の右側の永久歯(第1大臼歯)も神経の治療途中ですので、少なくとも最近までむし歯リスクは高かったのでしょう。
このような問題は部分的矯正治療(咬合誘導)で解決はしますが、時間と費用と本人には治療という負担がかかります。あと1年ちょっとくらい何とか第2乳臼歯が持ってくれたら何も問題はおこらなかったはずですから、ちょっと残念ですね。