福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

シーラントの話

2006-05-15 | 虫歯治療の話

「フッ素」とか「シーラント」という言葉は、虫歯予防の分野で随分認知されて来ているように思います。「シーラント」は写真のように奥歯の溝の部分を歯科用の樹脂やセメントでシールする(封鎖する、埋める)処置で、虫歯予防効果が高いのですが、時々ことばが独り歩きしているようで、奥歯の生えていない乳幼児でシーラントのご希望があることがあります。シーラント=安心ということでしょうか。

乳歯では奥歯が上下左右2本ずつありますが、2歳半ばくらいに出てくるいちばん奥歯が、他より圧倒的に虫歯になりやすい。また6歳、12歳くらいに出てくる永久歯奥歯(大臼歯)も同様です。奥歯に治療を受けている人、ちょっと記憶をたどってみかせんか。最初の治療は結構小学生~中学生くらいだったと思います。実は虫歯になりやすい時期というのがあって、乳歯の奥歯であれば出てから2年間位、永久歯奥歯であれば出てから3年間位ではないでしょうか。だからこの期間、シーラントでも何でも良いから予防ができればOKです。言い換えると、通常の詰め物と違いシーラントはずっと残っている必要はないと言えます。

歴史的には樹脂(レジン)系シーラントがほとんどで、処置時に唾液や水分があると歯にほとんど接着しないので、確実な処置のためにはラバーダムという装置を歯に付けて行います。出て間もなく処置するのが理屈的には良いのですが、乳歯の場合、子どもは2歳台のわけで、この時期の子どもにはかなり負担になって大泣きすることになります。そこで当院では、しばらくはフッ素入りの歯科用セメントをつなぎとしてシーラントのように応用しますが、これが非常に簡単にできます(私は瞬間芸と言っています)。セメントは溶けたり欠けたりがありますので、3か月おきくらいの定期健診でフッ素塗布や歯みがき指導とともにこのセメントをチェックして必要に応じて付け足します。そうこうしているうちに奥歯の虫歯リスクは下がっていきますが、それでもリスクがありそうな場合はそこで初めてシーラントをします。年齢も上がっているのでほぼおりこうに無理なく処置できます。リスクが低そうな場合はそれでシーラントなしでおしまいです。

当院というか私の考え方なのですが、できるだけ皆にとって楽で無理のない方法で進めたいと思っています。歯医者が楽だったら、患者さんも保護者も楽、スタッフも楽という次第です。

永久歯奥歯のシーラント。右が従来の樹脂系シーラント、左がセメント系シーラント。セメント系は溶ける欠点はありますが、フッ素が持続的に出て歯の質を強くするという長所があります。

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