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漢方薬剤師の日々・自然の恵みと共に

漢方家ファインエンドー薬局(千葉県)
http://kampo.no.coocan.jp/

嫌われ松子の一生(映画)「なんで?!」の連続

2006-05-31 | 映画
わがままもあるかもしれないけど、それでも「なんで?!」と人を攻めたくなるような出来事ってありますね。

もう、困っちゃうくらい、微妙に生きるのが不器用な松子。

親にかまわれたい気持ち、そして弟妹に嫉妬する気持ち。
それってたぶん、かなりの人たちの身に覚えがあること。
ありがち・・・
なのに、松子はどうしてこう、波乱万丈な出来事に発展してしまうのか。

人間、相手があっての人生。
だからたとえば、バイオリズムがぴったりあったここちよい人生が
一瞬でもあったとしたら、とても貴重なありがたいことなのかも
しれない・・・

以下の出演者以外にも、バラエティーに富んだ役者が次々登場して楽しい。

個人的には、かなり押し付けがましくいきさつを説明するシーン
(特に終盤)が多かったのが、胸焼け状態。
もうちょっと楽しく想像させてほしかったな。
そしてケバケバしい色の氾濫したミュージカルな場面は、もうおなか
いっぱいって感じでした。


監督・脚色:中島哲也
出演 中谷美紀 瑛太 伊勢谷友介 香川照之 市川実日子

★★★☆


ダ・ヴィンチ・コード(映画)がっちりキリスト教です

2006-05-31 | 映画
スリル満点で、イアン・マッケランが登場したあたりからは、謎解きはまるで「魔法学校」の雰囲気も・・・

観るほうの宗教的な認識がやや薄いので、微妙な感動や動揺を感じきれていないかもしれない。
別にキリストが超能力を持った「人間」ということでいいんじゃない?、そんなに隠したり、抹殺したりしなくたって・・・なんて思ってしまう。

けれども、キリスト教の歴史の中に、ダ・ヴィンチやニュートンが登場してくるのは、現実味を感じ、そのいきさつに親近感を覚える。

マグダラのマリアに関しては、少し知っておいたほうがよいでしょう。聖母マリアとはちがう女性なので。
個人的には、キリストとマグダラのマリアの間に男女の愛情があったと思うほうがうれしいかな。
最後のシーンは、厳かな気持ちになりました。

ところで公開した土曜日の映画館は、もうパニック状態でしたね。
いつものようにのんびり出かけたら、駐車場や館内の雰囲気に殺気があふれ、
「おや?・・やっぱり・・・というかさすが・・・」
結局、席がとれずにあきらめて帰ってきてしまいました。

この宣伝パワーは、すごいというか、はっきり言ってやりすぎですね。
先日、書店で買った文庫本(ダ・ヴィンチ・コードではない本)にかけられる紙カバーのデザインもそれで、つい電車の中で読書をしたら、しっかり自分が車内の人々に宣伝していたことに後で気づき、くやしい思いをしました。

そして、ダ・ヴィンチの名前がついているので、てっきりモナリザの絵のなかの話なのかと思ってしまいますが、もろにキリスト教の歴史の物語です。
つまりダ・ヴィンチも宣伝にしっかり利用されたというわけ。
まさに「人は神の道具」だわね。

★★★★


雪に願うこと(映画)

2006-05-22 | 映画
これは「ばんえい競馬」のポスターです。
首の太さ、胴回りの太さ、腰の大きさ、踏みしめる足のたくましさ!

力強さと美の、究極の塊みたいな”芸術品”に圧倒されます。

その「ウンリュウ」たちが、鼻息も荒く体に湯気を立ち上らせながら
砂深いコースを一歩一歩踏みしめて前進する姿は、もう神々しささえ
感じてしまいます。

走るんじゃないんです。錘を引っ張りながら這いずるように進むのです。

この力強さを目にすれば、死んでもいいやなんて投げやりになっている
人間でも奮い立たずにはいられない。

逃げてばかりいて、責任も取らずにいったい自分は何してんだって
自分を叱るよね。
そして、きっとできる、立ち向かおうって思えるよね。

そして、「馬見てると、気持ちがやわ~くなるべ」・・・
棒みたいに突っ張って、なにしてんだ・・・って気づくよね。

もう、言葉なんて要らないって感じ。



そして北海道のこの大地。
せまっ苦しい都会で、がんじがらめになって元に戻れないときは、
行ってみるといい・・・


肩の力をぬいた佐藤浩市の演技が好きだったな・・・



監督:根岸吉太郎
出演:
伊勢谷友介
佐藤浩市
小泉今日子
吹石一恵
山崎努
草笛光子

追)
実は、帯広にも数年住んでいたことがあります。
住まいはマンションでしたが、そのすぐ前が広い空き地で、馬の親子
数頭が飼われてしました。時々は柵を越えてマンションの庭をのんきに
歩いていたりすることも。
この話を東京地区ですると、「またうそついて」といわれるけど本当です。

ある日、上から見ていると
飼い主らしい人が柵のところに立ちました。
馬たちは、敷地の反対側、一番遠いところにいます。

次の瞬間、母馬が彼のほうを見て、満面に笑みをたたえたように見えました。
本当に・・・
そして体全体で喜びをあらわして、駆け寄ってくるのです。
もちろん子馬たちも小躍りしながらついてきます。

馬ってきっとしゃべるに違いないとそのとき思ってしまいました。

★★★★




Vフォー・ヴェンデッタ(映画)バットマンか怪人二十面相か

2006-05-06 | 映画
この仮面がとにかくいけてますよね。
効果抜群。シーンによって笑っているようにも泣いているようにも、そして怒りに震えているようにも見えちゃうんです。
Vの語るシーンは、だからうっとり見入ってしまいました。
その部分では、同じような仮面ものの映画『バットマン』より、迫るものがあります。

イヴィーをとりまくゴードンや刑事がちょっと小粋でいいですね。
『明智探偵対怪人二十面相』みたいな雰囲気もでてるんじゃないでしょうか。

ごく近未来でありながら、かなり異次元空間。
ありえないと思いながらも、もしかしたらと思ってしまう。
現実から離れたいと思うとき、こんな映画おすすめです。

でもね、テロのシーンは残念ながら現実味があるよね。テロリストたちの心理を考えちゃったりします。


監督:ジェイムズ・マクティーグ

出演:ナタリー・ポートマン
   ヒューゴ・ウィービング
   ジョン・ハート

Vフォー・ヴェンデッタ公式サイト

★★★★


またしても「ぼくを葬る」(映画)

2006-04-27 | 映画
すっかりオゾン監督のマジックにはまってしまって、いまだに抜け出られない。
で、この写真。
あの赤ん坊は、ロマン青年の生まれたときの姿なのか、それとも代理出産の子なのか。

ロマン青年自身だとしたら、この写真は、「ロマンのこの世の人生すべて」というふうに理解されるけど・・・
もしも代理出産の子だったとしたら、ロマン青年は明らかにこの子が世に出る前に死んでいるわけなので、「この世ではないところ(天国かな、それともこっそり妊娠した女性の子宮の中で!?)で、ロマンは新しく生まれようとするロマンジュニアと仲むつまじくしている」ということになりますね。

・・・考え出したらとまらない

★★★★

ぼくを葬る(おくる)(映画)

2006-04-24 | 映画
相変わらずフランソワ・オゾン監督は、映像が濃密。そしてセリフや行動に『謎』が多い。
この写真も謎めいていて、死にゆく青年とこの赤ん坊はいったいどんな関係なんだろうと想像を巡らしてします。

そして、ロマン青年の家庭環境や友人関係を想像するには、ちょっと困難なセリフの少なさ。いっさい言い訳なしって感じ。

余命3ヶ月といわれた青年は、のた打ち回るのか、それとも静かな境地に達するのか、はたまたあっと驚く奇跡的な展開があるのか・・・
ある種の期待が膨らみすぎたせいか、以外に静かな展開に、映画が終わったときに物足りなさを感じてしまった。

しかしそれはきっと、
観るものひとりひとりの『人生経験から引き出される想いをそこに自由に重ねてくれ』という監督の意図なのかもしれない。

自分を葬るのは、自分でしかできないことなのだ。

後になってもずっと頭の中にいくつかの映像がこびりついている。
細部までしっかり描けそうなくらい。
そしてずっと考えている。

特に、人々の『喧騒』の中に、混じるようでぜんぜん隔絶されているようなロマン青年の図。
その『音』たちは『生』そのもので、その中に馴染まない彼は、確かに刻々と死が迫っているようだ。
それでも、そんな彼は、また違う生きた世界のようで、闇雲に悲しい感覚がない。

こんなふうに、新しい世界へと静かに旅立つことができるだろうか・・・

またオゾン監督のマジックにはまってしまったようだ。考え出したら止まらない。
そしてこうして感想を書いているうちに、どんどん自分の中で評価が高まって、★の数が増えてしまうのだ・・・


鑑賞券を買うとき、「『ぼくをほうむる』、ください」といったら、「『ぼくをおくる』ですね。」と窓口の人に言われて、なんだかすごく残酷なことを言ってしまったような気分になった。
『葬る』は「ほうむる」がふつうの読み方なので間違ってはいないんだけど、かなり焦っちゃった・・

またしても「ぼく葬る」
↑まだまだ考え込んでとまらない

監督:フランソワ・オゾン

出演:メルヴィル・プポー
ジャンヌ・モロー
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ
ダニエル・デュヴァル
マリー・リヴィエール

★★★★


プロデューサーズ

2006-04-12 | 映画
ヒトラーをダシに使うあたりは、いやらしさを感じないでもないですが、ハリウッドやブロードウェイに象徴されるアメリカらしさって、やっぱりこういうことなんだと再確認させられるミュージカルコメディー映画です。

出し物の内容は、暗いもの駄目、悲しいもの駄目、ひたすら楽しく、最後は絶対ハッピーエンドでなくちゃヒットしない。
これぞアメリカの国民性というか、娯楽のあり方のようです。

背が低くてベビーフェイスのマシュー、モロおじさん体型のネイサン、やたら背の高いユマ(彼女がスウェーデン人という設定ははまりすぎて噴出してしまう)、そして極めつけはゲイの皆さん。

それにしても、
ユマやネイサン、マシューが歌って踊る姿にちょっと感動します。さすがハリウッド俳優はなんでもできちゃうんですね。

そしてダンサーのお姉さん方の脚力の強靭さ。ありゃそうとう筋トレで鍛えてますよ。尊敬してしまいました。

PRには、『オペラ座の怪人』『シカゴ』を引き合いに出してきているけど、そんな感動的なストーリーとはかなり違うので、すでにこれもギャグなのかも。

全体的に、素朴な感じがちょっといいですね。ここよく笑えます。


監督:スーザン・ストローマン

出演:
ネイサン・レイン
マシュー・ブロデリック
ユマ・サーマン
ゲイリー・ビーチ
ウィル・フェレル

★★★★


ホテル・ルワンダ(映画)

2006-03-20 | 映画
もうずいぶん前から上映されているので、空いているだろうと思いきや、結構込んでましたね。うわさがうわさを呼んで、じわじわと人気が高りとうとうここまできたというところでしょうか。

で、がっちりミニシアター系のどろどろした暗い展開かと思ったら、「えっ、この人!?」と驚くようなメジャーな俳優が(友情出演なのか)あちこちに顔を出していて、ホアキン・フェニックスあたりなら「しぶい」と思ったけど、ニック・ノルティーの空色のベレー帽姿は、ちょっと幼稚園の制服みたいで緊張感がなく妙に明るくなっちゃってましたね。

それでもこの映画が評価を得ているのは、ルワンダの100万人もの死者が出たという民族紛争が紛れもない事実だということによるものだと思います。
しかもこの紛争を、経済大国は見捨てた。西側の人々は、ニュースをみて「かわいそうに」とつぶやくだけだった。
先日見た映画「シリアナ」とは違って、なんの得にもならない国のできごとだったから・・・

しかし、個人的にも、ナタを振り回して殺戮を繰り返してるようなところにはちょっとね・・・悪いけどしり込みしてしまいます。

「なぜルワンダは、アメリカみたいに合衆国になれないんだろう、イギリスみたいに連合王国になれないんだろう」って問いかける、最後の挿入歌が心にしみました。

なぜ、こんなにまで残酷に殺しあうことになるんだろう・・・
民族が歩んできた歴史がここまで人を残酷にするのか、それとも教育か、それとも生活環境か、のんびり暮らしてきた私には想像が及ばない。


監督テリー・ジョージ

公式サイトあらすじ
★★★★

シリアナ(映画):誰のための石油か?

2006-03-13 | 映画
もちろん、ジョージ・クルーニーが助演男優賞をとったということと、久しぶりにマット・デイモンがなかなか引き締まった顔をしているようなので、観てみましたが・・・

彼はどこが助演男優賞なのか?だれか主役を引き立てているというような役回りでもないと思うのだけど・・・ま、ほかの候補作品と見比べてみないとなんともいえませんね。

石油の利権をめぐって、確かにどろどろした裏の駆け引きがあるのは、昨今のTVのドキュメンタリー番組を見たりして想像はついていましたが、その現実をこの映画はどう発展したかったのだろう。

たぶん展開がいまいちなんでしょう。あっちゃこっちゃの出来事がどうもまとまらず、最後の、少年が油田につっこむシーンがどうにももったいない。

それにしても誰のための石油なのか。
油田を持った国の民が貧しいというのが、なんとも悲しい。

あらすじ

★★★




クラッシュ(映画)

2006-02-20 | 映画
先日、ロサンゼルスを観光した。確かに暗黙の了解的な人種差別があると感じたけれど、世界中の人種がそれなりにうまく同居している自由な国と思われた。だが実際は想像以上に大変なようです。

『毎朝、イライラしているの・・・』
まさにアメリカのイライラを描いた作品でしょう。

ほとんど単一民族の島国日本では今のところ、せいぜい関西と関東とかその程度の生活習慣の違いにどぎまぎする程度で、とりあえず気持ちは通じる。
ところが、同じような英語を話していても、人種(民族の歴史)が違うとなかなか気持ちは通じず、それこそ「クラッシュ」しなければ、分かり合えない。
それは、まさに一触即発で、いつ戦争やクーデターに発展してもおかしくないくらいのぴりぴりした状態なんですね。

でも、『愛してる』『あなたは親友よ』、心から言葉に出して抱きしめる、肩をたたく。そんなことからきっともつれた糸はほぐれるに違いない。

国際化が加速する中、日本もやがてこんなイライラに巻き込まれることは間違いないのでしょうね。

そして、この映画で描かれた親子の関係は鮮烈。
鍵屋とその幼い娘の夢のような会話と驚きの奇跡、イライラ警官の年老いた父親への深い愛情と悩み、そして刑事と母親。この描き方は心を打たれました。
エンディング近くに、あたたかい感情にじんわり包まれてくる一方で、刑事の母親のたった一言・・・
いつのまに、現実の息子とこの母親の間に鉄のような壁ができてしまったのか・・・これも裏には人種の壁がこころの問題としてあるのか・・・

最も近くて最も分かり合えない、そしてそれでも、最も強い絆で結ばれている関係と思いたいですね。

監督は『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本を手がけたポール・ハギス
主な出演者:(中堅どころが勢ぞろい!)
サンドラ・ブロック
ドン・チードル
マット・ディロン
ジェニファー・エスポジト
ウィリアム・フィットナー
ブレンダン・フレイザー

クラッシュ公式サイト

ロスに雪が降るのと同じくらい、人種を超えて分かり合えることは奇跡に等しいというアメリカ留学中のhotakaさんのブログ 現実の厳しさを感じます。

★★★★★

ミュンヘン(映画)

2006-02-13 | 映画
この作品をすばらしい映画だと評価するのはとても悲しいことだけど・・・

爆発の音が重苦しく、心臓の底から臍の奥へと響く。
いよいよ計画を実行する直前の逃げ出したいような震える時間・・・
次々とこなしていくうち、穏やかだったメンバーの顔が異様な表現しがたい暗い形相に変わっていく。

アメリカに戻ったアブナーが言う「殺さずに捕まえろ」と。
テロリストを殺すためのテロを行う限り、双方きりがないのだ。そのセリフの遠くにニューヨークのツインビルがくっきり立っているのがなんとも皮肉。

きりがないだけではない。どんどん加速度を増して増殖するのだ。
たけのこのように次々と後釜が出現し、殺さなければならない人数がどんどん増える。
そしてテロリストを追っていたはずが、殺した瞬間から追われる立場になる。

絶えず、自分を相手への憎しみの中に置いていなければ、苦しくて生きてゆけない。いったんテロに手を染めたら、一生安住の場所はないのだ。

この悲しいテロの連鎖をいったいどうやって断ち切ればいいのだろう。
もしも神が人間を創造したのならば、この悲しい人間の性にいったいどんな希望的な意味があるというのだろう。

監督:スティーブン・スピルバーグ

あらすじ

★★★★★


フライトプラン(映画)

2006-02-01 | 映画
予告編ですでに、飛行中の密室で娘がいなくなる事はわかっているので、観る方はのっけから犯人探しに集中するわけですが・・・

中盤、ちょっぴりスリル&サスペンス的なところは確かにあります。
しかし、そんな展開のなかに、おそらく人々の無関心さとか、集団心理の恐ろしさとか、状況によって人の見え方がくるくる変わってしまう危うさとか、そして母親の強さとか、そんなものを描きたかったのでしょうか。

それより、飛行機の中のあちこちの構造が目に新鮮でしたね。エンドロールでも飛行機の様々な部分のラインがネリネリと動くのが印象的でした。
そして死体の入った棺おけは、チェックされないってこと。(へ~)
酸素マスクがドッと天井から落ちるシーンは、やっぱり焦りますね。
エコノミークラスはほんとうに狭いというのも実感。

飛行機に詳しくなれます。

で、最後に印象に残ったのは、ジョディーあんたが一番偉い!ってこと。
ジョディーの逞しさに惚れ惚れし、『すごい母親だ』とぽろっとつぶやく程度の感動で終わってしまった。


監督:ロベルト・シュヴェンケ

あらすじ
公式サイト

★★★

単騎、千里を走る。(映画)

2006-01-31 | 映画
オープニングから久々の高倉健の声。ドキッとしますね。味わいのある声で包容力を感じます。
しかし年齢を重ねた彼の背中は、かつてより少し小さくなったように見え、それがこの物語の父親としての悲しみみたいなものを一層増幅させます。

ガイドたち、警察の人、村の人々、彼らの人としての接し方に、新鮮さを感じてしまった私は、こんなにも大切で当たり前なことを忘れてしまっていたのですね。

『義理』とか『道理』とか、言葉さえ忘れてしまいそうな今頃の生活は、なんと粗末だったんでしょうか。

さすが監督チャン・イーモウは、人に演技させるのがうまいというか、人の人格を引き出すのがうまいというか、おかげで役の人間性に深みや味わいがでていて感動します。
何があっても引かない高倉健の父親としての意地、それに心をひらく中国の人々。淡々としていながら、心が熱くなります。
舞踏家・李加民のきりっとした表情もステキでした。

日本側の映像にちょっとわざとらしさと流れが中断する感じがあって、ちょっと残念。


公式サイト

(メモ)
>「単騎、千里を走る」は、「三国志」の仮面劇の演目。後に蜀帝となる劉備の義弟・関羽が、劉備の妻子とともに敵の曹操に捕まるが、劉備への仁義を守り、ただ一人で劉備の妻子を助けて脱出、劉備のもとへ帰ってくるという”家族の再生”の話だ。
 たった1人で中国に渡り、心の中で”家族の再生”を果たす本作の主人公と重ね合わせている
マダム・クニコの映画解体新書より

★★★★

博士の愛した数式(映画)

2006-01-23 | 映画
こんなに淡々と美しく、心洗われ素直に涙が流れる映画は久しぶりです。

『とても潔い数字だ』なんていわれると、すごくほめられたみたいで不思議ですね。
『友愛数』なんて命名した数学者はなんとロマンティックなんでしょうか。
『なんにも役に立たない数学』に哲学や自然や宇宙を感じてしまいます。

そして『記憶』の問題。
『それは前に聞きました、って言わないことにしよう』とか、きめこまやかな思いやりがうれしいです。
『私の記憶は80分しか持たない』ことを思い知らされるとき、本人はどれほどの恐怖感、不安感に陥ることだろう。

しかしそれを乗り越え、『あるがままを自然に任せて、生きてみよう』と言わせる心境に到達する博士は、時の流れに流されるのではない『永遠の真実』に見事に到達したといえるのでしょう。

”-1”の心にそんな強い気持ちが”+1”として加わると『0すなわち無に受けとめられる』というセリフも、よくわからないけど、胸にぐさっと刺さり、みるみる救われる気持ちになりましたね。

言い訳がましい媚も一切感じさせることなく、母親(深津絵里)と博士(寺尾聰)とのエピソードと数学教師となったルート(吉岡秀隆)の教壇での解説が、心地よく染み入る。
憂いを漂わせた義姉役の浅岡ルリ子もすごくいい雰囲気でした。

監督は小泉堯史(雨あがる、阿弥陀堂より)

公式サイト

★★★★★



THE有頂天ホテル(映画)

2006-01-19 | 映画
あつかましいくらい三谷幸喜監督のパワーに押されっぱなしって感じでしたね。しかし一方で、演出が、役者たちに気を使いすぎていて、ストーリーに身が入らず、役者のことばかりハラハラしながら見ている状態でした。

これって、映画としていいことなんでしょうか?
おなかいっぱいの割には、満足できない変な後味です。

個人的には、オダギリジョーのあの役は、かなり目新しくて気に入りましたが・・・

あらすじなど

ちなみに、『ラヂオの時間』、『みんなの家』 は大好きでした。

★★★☆