江戸糸あやつり人形

江戸時代から伝わる日本独自の糸あやつり人形。その魅力を広めるためブログを通して活動などを報告します。

演ずる

2016-09-13 23:29:05 | 日本の文化について
独立し、大道芸を始めてしばらく経った頃、
あるホールからの依頼で舞台公演を行った。
私たちの大道芸を見てファンになった人がその公演を見て、
感想を述べたそのひと言は

「観客が観客を演じている」

ある公文協関係者が集まった席で人形を遣った時のこと、
舞台から見て観客がもの凄く固くなっているのがわかった。
どうやっても柔らかくならない。
人形に興味が無いこともあるかもしれないが、
それより周りの反応を気にし過ぎてのことと思えた。
会館や劇場を運営している人が、そんな見方をしていてどうするんだ!
私はついその後のシンポジウムで叱ってしまった。

いつも不思議に思うのが、開演前の禁止事項の羅列。
話すな、食べるな、電話は電源を切れ、撮影禁止、
挙句は「舞台に近寄らないように」
ここはストリップ小屋じゃない・・・・

私は、この禁止事項の羅列も観客を固くする原因の一つだと思う。
だから私どもが主催の公演で禁止事項を言ったことはないし、
それで携帯電話が鳴ったことは、今のところ、ない。
子ども劇場などでは主催者の慣例を尊重するけれども、
「私たちは何でも有りですよ」と伝えることにしている。

海外で公演すると、劇場が市民権を得ているのがよくわかる。
それに引き換え・・・と思った時
これはもしかしたら文明開化の副作用なのではないかと気付いた。
芝居が演劇になり、芝居小屋が劇場になり、
西洋の人々に恥じぬようにと、それまでの慣習を諌めた。
まだ地方に歌舞伎や人形芝居、神楽などが残っているところは
見方が柔らかいが、
過疎化によって、それも覚束なくなってきた。

そして当たり前のような禁止事項の羅列
劇場から足が遠のくのも納得してしまう。

なんとかしなければ。
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