マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

仏像頭すげ替え「復元」は不要

2010年03月26日 | 身辺雑記

 「駒込大観音」として知られる「光源寺」を巡る判決が知財高裁であった、との報道が、今日の朝刊で報道されました。

 我が家から徒歩15分のところにある光源寺は、高さ8mの十一面観音像で有名です。その観音像は江戸時代の1697年の建立。1945年の東京大空襲で焼失しましたが、先代住職は1987年、観音像の再建を仏師に依頼、93年に完成しました。しかし、にらみつけるような眼差しに見えることから、参拝者らから「慈悲深い顔にしてほしい」との声が上がりました。そこで仏師の死去後、現住職が仏師の弟子に依頼して頭部を作り直し、すげ替えていました。
 このすげ替え、仏師の遺族が著作権を侵害されたと東京地裁に訴えを起こしていました。第1審は仏師遺族側の勝訴。「すげ替えは著作権侵害にあたる」として「原状回復をし、損害賠償1800万円の支払い」を寺側に命じる判決が出ました。
 これに対して、寺側が知財高等裁判所に控訴。昨日、逆転判決が出ました。著作権侵害は認めつつも、「頭部を新たに制作し交換した行為には相応の事情があり、すげ替えの頭部は保管されており、拝観することも不可能ではない。事実経過を説明する広告を掲載すれば十分」との言い渡しでした。(控訴審にあたり、現在の仏頭を希望する地域住民ら約2千人分の署名が掲出されたようです)

 この新聞記事を読み、丁度今日、借りたまま机上に置いてあるパソコンを返却する為、勤務校のある柏まで出掛けなければならいマーちゃんは、柏からの帰り、日暮里で下車し、よみせ通りの「延命地蔵」にお参りし、「彬」(昨年9月14日のブログに登場)
で昼食を摂り、光源寺に向おうとの計画を立てました。
 
       (ここに十一面観音像がおわします)
 光源寺に到着し、写真撮影ののち、少し躊躇いましたが受付のインタホーンで「裁判は最終決着をみたのですか」とお聞きすると、「今住職が参りますからお待ちください」との事。間もなくご住職が、笑みをたたえた表情で現れました。「新聞報道がまちまちですが、読売新聞と東京新聞の表現が適切です」と2紙をコピーしたA4版の用紙を渡してくれました。
    



 「著作権侵害は認めていましたが、お寺さん側の勝利とお考えですか」とお聞きすると「謝罪文では無く、事実経過を載せればいいし、観音様はあのままでよいし、損賠賠償も払わなくていいし、こう言ってはなんですが、勝ったと思います。応援有難うございました」と。私はなんとなく寺側贔屓の心境ではありましたが、応援したいた訳ではありません。その部分は素通りして「これで確定ですか」と一番聞きたかった事に話題を変えますと、「憲法に係わる面もないので、最高裁には上告しないのでは」との判断を示されました。
 
 最後に「私は元都高教組合員です。昨年のコンサート(10月14日のブログに登場)でもこちらに伺いました」と話すと、ご住職、突然奥に引っ込んで「御供物」を持ってきて下さいました。お寺さんへ供え物をする事は多々ありますが、頂いた事は初めて。有難く頂戴して来ました。心の閊えが降りたのでしょうか、島田昭博住職の晴れやかな心映えが伝わって来ました。