崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

韓国での古い反日が日本で新しく「嫌韓」

2014年08月30日 04時47分10秒 | エッセイ
昨日ソウルから下関へ帰宅した。アジアの大都会から閑散な田舎に戻った感がある。日韓関係が最悪といわれている時に帝国云々という研究課題を持っての訪問であった。その板挟みで活躍する朴裕河氏、日本近代史専門の金弼東氏と会って長く議論したのが特に有意義なことであった。韓国では一般的には進歩(左派)、保守(右派)と分けて話をすることが多い。日本に関しては右翼と左翼と言うが、安倍総理の名前が直接挙げられることが多い。そして一般的には吉田清治氏の嘘や朝日新聞の誤報も知られていない。日本人はすべての韓国人が日本に対して「反日虚像」を持っていると思っているようである。金氏は韓国の反日は日本人が考えているようなものではないという。日韓関係が悪くても80年代のような反日デモは一件も起きていない。彼は日本人がオバーに感じ取り、それが右翼化、右傾化して、嫌韓を増幅していると言う。韓国での古い反日が日本で新しく「嫌韓」になっていると指摘した。その根底には日本が韓国に追い越されるかも知れないという不安が内在しているからではないかという。鋭い。彼の本がすぐ出版されるというので注目してほしい。
 写真は呉埰鉉館長所蔵「愛国班」新聞)

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3 コメント

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知的交流の強化が必要 (金弼東)
2014-08-30 09:56:10
日本社会の反韓情緒が気になる。その裏には韓国社会の反日意識に対する反発心理もあるようだ。しかし、韓国社会に7,80年代のような反日意識はない。韓国社会の対日意識は成熟している。今の関係悪化は、安部総理の歴史認識、河野談話の無力化、韓国の女性大統領に対する配慮不足、従軍慰安婦問題の本質に対する認識の差、日本の一部の嫌韓運動(韓国では民族差別として受け入れている)に対する日本政府の傍観者的な姿勢、一部マスコミの暴走などに因がある。その中でも一番気になるのは、日本社会が過去のような余裕をなくしていることである。外部からの刺激や批判を自分たちの活力として受け入れたその自信感と余裕の喪失が余計に状況を悪化している。今後の日本の行方が少し不安である。両国の知的交流が本当に大事な時期である。
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Unknown (黒羊)
2014-08-31 01:39:32
>日韓関係が悪くても80年代のような反日デモは一件も起きていない。

親日?デモも起きてはいません。以前にもお聞きしましたが、「政府が、マスコミが、一部の反日勢力が、」と仰るのなら、何故それに対する反動が起きないのかと。教授の仰る日本よりも民主主義の先進国である韓国で、反日に対する反動が起きないうちは沈黙は賛意ととられています。
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Unknown ()
2014-08-31 19:22:31
 お二人のコメント大変有益な内容です。金氏は韓国から見た日本の動態へ、黒羊氏は日本からの見方であり、読者はバランスのある理解ができるかと思います。私もこれから深く考えてみたいです。有難うございます。
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