崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

割礼

2013年07月17日 06時00分35秒 | エッセイ
映画塾での上映作を探して映画Europa Europaを鑑賞した。ポーランドの女性監督作のユダヤ人が第二次大戦中にナチの手から逃れ続けた実話を基にして作られている。神との神聖な契約で行われた割礼の自分の性器を隠そうと強迫感を持ちながら性器の先端を結んだりするシーンが印象的である。それはユダヤ人を隠すことであり、ヒトラードイツ人になりきってみずからユダヤ民族を虐殺する。
 戦争中のことを今の時代に映画という前提で鑑賞する人には滑稽に映る部分もであろう。しかし私は実体験した戦争を以って理解し、決して滑稽には感じない。割礼、ユダヤ民族で生まれ聖なる儀礼であったものが一生の重荷になって不幸な状況になる。多くの宗教では洗礼や割礼などの儀礼を行っている。私もキリスト教の洗礼を受けているものである。それは重荷であり、アイデンティティであり、恵であり、場合によっては重荷にもなる。私だけではない。人はそれぞれ運命的な重荷や使命を持っている。それが何時自分を不幸にするかもしれない。この映画は戦時中に限らず今も世界には多いことである。日本人で、アメリカ人で生まれて良かったと、安易にいう人が多い。この映画はヒットラー的な人、集団、状況の下で生きているかも知れない自分の生き方に大きな教訓になる。

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