崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

二つの東亜大学の出会い

2016年07月09日 05時53分54秒 | 旅行
 昨日朝早く出勤して大型教室でPCや掃除、整理、整頓などをチェクし、発表準備をして、李学春、韓雄吉両教授が引率する韓国釜山の東亜大学の法学科学生30名、大学院10人が日本の東亜大学を訪問してくるのを待っていた。下関の観光バスの運転手が二つの大学が同名であることで戸惑ったようであり、電話があった。大学の事務時間前であるが大型バス通過のための開門などをお願いしながら学長に報告している内に私の研究室の前に30余名の学生たちが現れた。予定よりはるかに早く着いたのでその余裕の時間を利用して自己紹介、協力者、通訳の学生、大学の紹介、日程などを紹介した。本学の学生20余名と教員も参加し、定刻になって来られた学長を紹介し、学長の挨拶に続き、私が大学側の発表者として「韓日家族法の比較」という題で話をした。
私は日本語と韓国語で要旨を以て次のように発表した。日韓の現代の法はフランスとドイツなど英米の法を加味して形成された。そこには当然のことながら伝統的な法と西洋的な法が混合される。韓国の憲法裁判が違法とされても最近まで存続した姦通罪、同姓同本婚姻禁止や異性不養および再婚禁止、戸主制度などが法意識に強く関わっている。伝統的に日本ではいとこ同士の結婚も可能であり、社会構造が異なっている。現在のところ日本憲法の「平和憲法(9条)」と韓国のものとは全く異なる。日韓の法にも象徴や儀式などが共通している点がある。法には両社会の特徴が反映されている。
 続いて李学春教授の「不当労働行為制度の日韓比較」が発表された。日韓の比較にポイントがおかれた内容で解りやすかった。団結権保障構造は憲法上韓国と日本は原則的に同じである。労働紛争を予防するために国家が介入する政策を反映している。日韓において団結権行使の範囲が異なる。韓国ではその範囲を制限することができるが、日本は何の制約もない。日本の労組法は不当労働行為の救済命令の履行強行できるが韓国ではそうではない。つまり日本の方が規制や罰則が厳しいという。彼は日本は「法治」であるが韓国や中国は「人治、徳治」であると言った。午後4時まで院生たちの発表会は続いた。私は真摯な研究熱が羨ましく、別れのあいさつで観光より学術中心であったことに意外と感動したことを語った。
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿