崔吉城との対話

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黒田勝弘氏の『韓国人の研究』

2015年01月10日 06時06分45秒 | 旅行
 年末に産経新聞のソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏の『韓国人の研究』を読んだ。彼は私と同年配で日韓往来の生活も似ている。特に東洋経済日報に1週間を前後にしながら10年近く連載している親しい間柄でもある。本書を読みながら時々自分の文章を読んでいるような錯覚さえする時もあるくらいであった。「反韓は韓国への熱い関心の裏返し?」「韓国は毎日、反韓をやっている」「韓国はまだまだだなあ……」「韓流ドラマはいつもケンカしている」「日本のモノが大好きな韓国人」などは文章力では彼にかなわないがほぼ私が書いても同様なものになりそうである。しかしまったく違うものも多い。私の文にあり、彼にないテーマといえば「花」である。私と極端に対照的な点は第7章「爆弾酒が炸裂する」のような「酒」の話である。それは私には欠けている。私は韓国の酒文化に適応できず苦労したが、彼は酒文化によく適応して韓国に友人も多く持っている。韓国に長く滞在し、韓国を愛し、韓国を理解して韓国へ時々酷い批判も書いている。しかし裁判などの不協和なことは起きなかった。多くの韓国人に信頼されているからである。彼の人柄と言える。
 ある人と「良い人材」とはどんな人かについて話をした。彼は「上司にも正しいことを言う人」だと評価した。私はそれには反対した。信頼関係のない間柄では正しい言葉も受け入れられにくくなるのが常であるからである。信頼関係の「信」は深く広い意味がある。研究者には権威、宗教者にはカリスマ(?)、政治家には信念のようなもの、その基盤ができた上に本当の対話が成り立つのである。ある有名な出版社の社長から聞いた話である。良い著者はユーニクな研究内容よりユーニクな研究者であると言い切った。本は人格、人生を売るものであると言い、長い経験を語った。「話をする前に人になれ」という孔孟の話のように重い話になってしまった。 

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