崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

島倉千代子

2013年11月15日 04時54分03秒 | エッセイ
 有名な歌手島倉千代子氏が肝臓がんで享年75歳で亡くなられたとのをニュースを見て考えている。彼女は死ぬ直前の3日前まで歌った歌が葬式で披露されたという。またご本人が死ぬ前に都内の寺に黒い御影石で墓を造られ、ピアノをイメージしたデザインの墓を用意していたという。「こころ」の文字が大きく刻まれ、横には生前に決めていた戒名が彫られており、背面には俗名の「島倉千代子」と並び、「島倉忍」の文字が並んで刻まれている。その墓にはモニュメントとして多くの人が尋ね、観光化されそうでもある。サンペテルブルグの観光名所がチャイコフスキーやトルストイなど有名人の墓がある共同墓地であるように。日本の墓は非常に単純な墓塔が一般的であり、家族墓であり、観光の余地がほぼないのに島倉の墓によって墓の意味が変わるかもしれない。
 死ぬ前に自分の墓などを用意することは死後の世界を認めることである。昨夜映像ニュースでは平成天皇が生前お墓について語っていることと軌を一緒にしている。死を覚悟して、死を準備する心はそれが文字通り「死生観」の生き方である。最長寿国の日本ではいま「生観」だけが強調されいて、「死生観」はあまり考えていない。私の韓国の友人の中には墓を準備している人がいる。人は死んで「あの世」に行くという信仰、子孫との接点として墓が存在する。私は死んで神の横に行きたいと望んでいる。生きた痕跡が思いだしてもらえればそれでよいと思う。この文もそのために書いているのかもしれない。

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