崔吉城との対話

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「カムジャタン」 東洋経済日報 2017.3.10 寄稿文

2017年03月16日 06時12分41秒 | エッセイ

カムジャタン

 韓国釜山へ日帰り出張をした。下関から東京へ行くよりはるかに近い海外である。釜山の東亜大学校と下関の東亜大学の姉妹提携式に参加するためである。釜山東亜大学校から迎えられ、昼食をご馳走になった。靴を脱いで入った部屋は、椅子式の食堂だった。テーブルには大きい鍋に豚骨の見えて、あふれんばかり。それだけで拒否感があった。しかし味は異様なものではなく、粗末なものでもない。同行者はとても美味しそうに食べておられた。
 私は韓国で好物の冷麺が食べられるという期待があったが大外れであった。カムジャタン(ジャガイモ湯)の食堂に案内されたからである。なぜカムジャタンだろうか。韓国には私の世代では知らない新しい料理が多く開発されている。部隊チゲやトッポギもその一種である。私は再三、韓国へ行ったり来たりしているが初めて出合った食べ物である。接待側が私の好物を誰かに聞いた情報では私がカムジャタンが好物だと言われたからだと言う。最初韓国の焼肉料理店に予定していたがその誤情報により緊急変更したのだという。おそらく誰かと勘違いをしたのだろう。
 私には縁の遠い食べ物である。豚肉よりその背骨に抵抗があった。骨付きのカルビ (牛肉)には抵抗がないのになぜ豚の骨には抵抗があるのだろうか。カンジャタンといってもそこには小さい破片のようなジャガイモが入ってはいるがないようなものであった。実はカㇺジャタンの語源のカムジャは豚の背骨を指すのだという。なるほど私を含む多くの人はジャガイモの料理と勘違いをしている。