崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

緊張と失敗の中で優勝

2014年02月15日 04時37分41秒 | エッセイ
早朝4時10分過ぎ日本の羽生が最高点で金メダルが決まった。おめでとう。二度失点があって審査に若干時間がかかった。今(30分頃)インタビューで緊張と失敗の中で優勝の嬉しさを語った。ニューヨークタイムズは「失敗にも優勝」(Despite Falls, Triumph for Japanese Skater)と題し(写真)、韓国インタネットネーバは「2回転んでも金メダル」と題した。インタビューで羽生は「緊張の中」で滑ることはやはり難しいと語った。世界的な実力者が集まって注目される中では実力によって自信をもって緊張しないことは難しかっただろう。
 「緊張」とは何だろう。私は高校時代までは授業中、立って本を読むことが緊張して苦手であった。それは小さい失敗でもワーッとクラスメートに笑われるかも知れないという不安からであり、失敗しないようにという緊張感からであった。しかし大学生になってからは読書会で討論をする中で自信を持つようになり、その緊張が弱まっていくことを知った。実力で自信を持とうとその時強く思った。私が一番、足が震えるほど緊張したのは陸軍士官学校で将軍の突然の授業参観であった。将軍階級はスター(星)であり、本当に空の星よりすごい存在であった。自信の源は実力であっても「将軍様」の前では人民は怖がっていることも分かる。しかし、老いていくと実力も自信もなく、しかも緊張感もない。高齢者が怖いもの知らず、緊張もなく語るのはそれだろう。私も最近、緊張感が薄れ、後輩たちを叱ることがしばしばある。それは自信ではなく、ただ成功の意欲のない言いたい放題にすぎないかもしれない。年寄りが戒めるべきである。