崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

作家川島擁子Yoko Kawashima Watkinsが下関へ

2014年02月05日 05時26分19秒 | エッセイ
 『竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記』So Far from the Bamboo Grove 1986年(2013/7ハート出版)の著者の作家川島擁子氏Yoko Kawashima Watkinsが2月18日下関に来られることになった。すでに読んだ人も多いだろう。この本は去年7月発行以来アマゾンで売れ行きトップであって、動画などでも知って関心のある人は多いと思われる。川島氏は1986 年にアメリカで刊行後、数々の賞を受賞し、中学校の教材として採択されたが、一方韓国系アメリカ人たちからバッシングを受けて韓国では悪名高い作家にもなっている。そんな話題の作品が日本語版で発行されている。私はまず植民地の研究という立場から注目している。引き揚げの文学としても関心があり、著者に会いに行き直接インタビューをしたり日本に招待したことがあった。今度は2度目の下関訪問である。私は日韓関係が最悪と言われている今だからこそ個人的にではなく小さくても集いで歓迎会を考えている。
ストーリーは大戦末期の小学生の擁子(11歳)は「ソ連軍がやってくる」と たたき起こされ、母と姉の好との決死の朝鮮半島逃避行が始まる。引き揚げ者が味わった壮絶な体験が書かれた。日本人婦女子が朝鮮ソ連の不逞外人によって心身に多大な傷を負わされたという一部の内容がクローズアップされてバッシングされた。少女の視点から描きだしたものであって、別に嫌韓ではないのに過剰な反応ではないかという読後感が多い。その中で、韓国側が問題視するシーンは「私たちは京城をでなければいけない。朝鮮人の男たちが、日本の女性を藪の中へ引きずっていくのを見たし、若い女の人に乱暴しているのも見たわ」という部分である。また著者の兄が親切な朝鮮人に助けられたことに関しての記述があるように、著者は反朝鮮の立場ではなく、あくまでも中立的立場でこの本を書いているという指摘もある。この本は引き揚げの体験、文学作品、そして日韓関係の危険性の瀬戸際の状況によって広く読まれるようになった。下関の市民たちの意見を聞きたい。