崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

学縁は切れても「縁」はきれない

2014年02月10日 06時15分28秒 | エッセイ
 いま国際的に韓国人のロビー活動が時々話題になっている。私は日本に長く住んで日本人と社会生活をしてきたが一番いやなことは根回しである。根回しとロビーはどう違うのか。ネット上で検索すればすぐに分かるだろう。しかしその辞典的なことではなく経験から知っていることが大事である。私の経験による日本人の根回しは事案を先に意見調整をすることが多い。世界的に通用するロビーとは人間関係や社交を広げて意見調整が自然に(?)行われることである。もちろん日本人、韓国人を問わずそうではない人も多い。
 先日韓国の大学の運営に詳しい二人の方と日本との比較の話が面白かった。現在円安で考えて韓国の大学教員が給料や社会的地位がはるかに高い。社会的身分や地位が高いのは研究者というより教育者への社会的尊敬が基礎になっているからである。教育者とは何か、学生や生徒を愛すること、肯定的にみることである。日本の大学教員の多くは研究者を志向し、教育者としての意識が薄いと思う。私は日本での研究を目指してきて本当に多くの研究者と協力しながら楽しく生きてきた。しかし時々期待外れもある。年度末、学期末に多くの学生が社会に出る。社会に出て社会を変えて欲しいと願っている。学縁は切れても「縁」は切れない。