崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「切る」だけで一流の刺身料理

2013年09月15日 00時04分24秒 | エッセイ
昨日は「楽しい韓国文化論」講座の2時限「韓国の食事文化」、講師は柳鐘美氏、大盛況であった。柳氏はニンニクの食べる量などを紹介し、韓国の食事にも日本文化の影響があることが分かった。しかしまだ外食レベルであって食卓に上がった日本食はほぼない。日本の食卓にはキムチや焼き肉など韓国食が上がっている。それも食べ方をみるとさらに異なるので文化の差を意味する。韓国旅行希望者も多く、次回に回すなど整理が必要であった。中国人民大学の准教授の金炳徹氏の授業参観もあった。私は続いて映画祭準備委員会を開催し、遅くなった。
 「しものせき映画祭」への出品のために初めてドキュメンタリー映画の監督として編集作業の最中である。日中戦争の貴重な証言をそのままにノーカットにするか、カット、あるいは挿入などの編集をするか、模索中だったので準備委員たちに議論してもらった。カット派とノーカット派に分かれて議論となった。ドキュメンタリー映画のために撮影するという承諾を得て数回録画し、出演して語った数時間の映像を30分にまとめているが証言が3分の2に当たる時間になり、ただの証言集ではないか、ドキュメンタリーとは言えないというような意見もあった。ドキュメンタリーであっても特定な場所や実名では困るような意見もあった。しかし重大な判断と責任をとるのが監督だと言われて重苦しくなった。承諾を得て撮ったのに肖像権云々カットせざるを得ないことはないだろう。
 私の「編集は偏執ではない」という戒めをもってするつもりである。英語のeditはセンスとプロデュースの意味の語源であり、編集は出版などの過程の一つであり、「創作」とも言える。最低限のカットで「創作する」こと、魚を煮ることなく、最低限の「切る」だけで一流の料理、刺身のように「小山上等兵が撮った日中戦争」を出したい。10月20日東亜大学で公開する。
この写真は山尾信也氏が撮った