崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

本当の解放

2013年09月08日 04時05分56秒 | エッセイ
生中継で次回オリンピック決定の投票状況を見ている。今4時9分、今その瞬間を待っている。国を挙げて視聴しているといえる。韓国では韓国政府がオリンピック2020年決定投票の直前に日本は放射線危険ということで日本の水産物禁止を発表し、オリンピック選定に不利となって心配している人も多いようである。投票の状況をみると日本が優勢である。喜んでいるニュースの声が大きい。この文を書いている中、決定されると思う。東京に決まるなら日本は2回目になる。韓国人の気持ちはどうであろうか。世界的に一番古い国際化の行事であり、国際化へ貢献できると祈っている。
 昨日は「楽しい韓国文化論」の初回の公開講座を行った。ほぼ口コミで60人ほど集まったことに感謝であった。日韓親善協会の石崎氏の挨拶、政治家として今の日韓関係を悪くしたのは政治家だという発言に感動した。そして『二重国籍者野口米次郎』の著者の堀まどか氏が講演をした。カイコを食べる話から植民地、先進国の話にどんどん重い話になった。彼女は小学生時代に植民地朝鮮で生まれ育った祖母に連れられて韓国巨文島へ旅行したことがある。しかし成長しながら韓国びいきの祖母の懐かしさとは対立していくようになったという。また父親も祖母と対立したという家庭中の葛藤さえ披露した。つまり父子は韓国と距離を持ちたがっていることである。私はその彼女の話には驚いた。祖母の堀麗子氏のようにただ「親韓派」だと思ったが、家族の中でも世代によって意見が異なる貴重な講演とコメントをした。食べ物の話題が質疑になると世間話になっていくのではないかと心配で私が立ってまとめて感想を語った。また、まどか氏のお父さんの堀研氏のコメントもあった。
 彼女は植民地歴史とは離れて客観的な韓国、異文化として「そのままの韓国文化」に関心を持っている。健全な見方であろう。韓国は明治以降日本の影響圏にいて発展してきたのは事実であるが、今直接アメリカなど西洋文化、そして中国へ近寄っていくようで日本から離れていく傾向がある。それは韓国の本当の解放と独立であろう。昨日残念だったのは在日韓国人はほとんど文化活動に関心を見せないことである、ほぼ参加していない。
 4時27分まだオリンピックは決まっていない。(写真:私を撮ったのは山尾氏)