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トランプ大統領の危険なフェーズについて





■新型コロナウイルスの起源については、その初期から、武漢に存在する中国科学院武漢ウイルス研究所が疑われてきた。具体的には、この研究所の付属施設で、エボラ出血熱など、危険な病原体を扱える中国唯一のバイオセーフティレベル4の「P4ラボ」と呼ばれる実験施設である。米国はここから自然界にもともと存在する新型コロナウイルスが漏れ出たと考えている。

※新型ウイルス、武漢の研究所から流出したものか調査中=トランプ氏(ロイター、2020年4月16日)

※武漢ウイルス研究所

他方、フランスは、今日までその証拠はないと述べている。広範囲な科学的なコンセンサスは、SARS-CoV-2の起源は蝙蝠というものである。

※France Says No Evidence COVID-19 Linked to Wuhan Research Lab(New York Times、2020年4月17日)

また、科学者向けのグローバル情報共有プラットフォーム「リサーチゲート」に2月6日に発表された中国人研究者2名のレポート「2019-nCoVコロナウイルスの可能な起源」(現在は削除)によると、次のように記されているという。

《(新型コロナウイルスはコウモリ由来とされるが)コウモリは武漢の海鮮市場では売買されていない。市場に飛んでくる可能性も非常に低い。他に感染経路はあるのか? われわれは、2つの研究所を特定した》

 《第1の研究所は、海鮮市場から280メートル以内にある「武漢市疾病予防管理センター」。研究目的で動物を確保し、病原体収集と識別を専門にしていた。過去2年以内にコウモリを湖北省から155匹、浙江省から450匹調達している》

 《第2の研究所は、海鮮市場から約12キロメートルのところにある「中国科学院武漢病毒研究所」。この研究所は、中国の馬蹄コウモリが、重度のSARS(重症急性呼吸器症候群)の大流行を2002年から03年に引き起こしたと報告している》

※中国当局が関与!?新型コロナ「人工ウイルス」証拠論文が“消滅” 超エリート教授が迫った「2つの研究所」と「ウイルス流出説」(ZACZAC、2020年3月17日)

しかし、問題は、このウイルスの起源を巡る論争が初めから政治問題化していることである。すでに米国は「P4ラボ」からの流出事故を規定シナリオとしてしまっている。懸念されるのは、「イラクの大量破壊兵器」のように、米国内の不満解消や11月の大統領選などの政治的な思惑から、つまらない戦争の口実にならないとも限らないことであろう。戦争とまではいかなくても、大規模な経済制裁が中国にふたたび科される可能性も排除できない。

トランプ大統領は米情報機関の調査結果(近くホワイトハウスの提出される)の内容を精査した上で、中国にどのように責任を取らせるか判断を示すとしている。これはトランプ大統領が非常に危険なフェーズに入ったということだろう。

※武漢研究所ウイルス流出疑惑、米情報機関が調査結果提出へ(産経、2020年4月18日)

世界中がCovid-19と必死で戦っている最中に、特定の一国家にだけ、この全責任を押しつけ、「ひとりの悪魔」を作り出すことが果たして正当なことだろうか。中国起源のCovid-19は、地球規模のサプライチェーンと労働力の移動がなければ、言いかえれば、米国起源のグローバリゼーションが存在しなければ、Covid-19はCovid-19とはなりえなかったのである。そもそも、人間文明が自然的存在を基礎としてしか存在できないことが、Covid-19の原理的な起源として挙げられよう。近日提出されるこの米情報機関の調査報告書と米国の動向が注目される。





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一日一句(2458)






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