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緊急事態宣言とLINE全国調査





■今晩、小池都知事の緊急事態宣言を受けて、東京都が行う緊急事態措置について記者会見があった。知事の発言後に、日刊ゲンダイの記者から、専門家会議から4月8日の感染者数が580名を超えると知らさせていながら、連休中に記者会見をなぜ開かなかったのか、と問われて、専門家会議の数値が1万数千になったり数百になったりと、揺れていたことを理由に挙げている。御社(日刊ゲンダイ)の論調がそうなのかもしれないが、オリンピックと会見を開かなかったのはまったく関係がないと否定している。

ところで、知事は春分の日の連休が終わった後の3月25日の記者会見でも、同じことを聞かれている。なぜ、今、記者会見なのかと。そのときの答えが「専門家から感染数値が低いからから大丈夫だと言われていた、大阪よりも一桁低いから大丈夫だという判断に依拠して、連休前に自粛を要請しなかったのだ」と答えている。

この小池都知事の二つのコメントは同一の事実をそのときの都合で二通りに解釈して見せて、正当化したものである。この矛盾からわかるのは、オリンピックの延期が本決まりではないから、春分の日の連休前に記者会見を開いて自粛を要請するのは控えたということである。その判断が結果的に連続3桁の感染者数を生んでいる。しかも、その数値には暗数(可能数)が多く存在する可能性がある。

専門家会議は肺炎の死者数を予めCTとPCR検査ではっきりと押さえているから感染数の暗数はそれほど大きくないはずだと主張している。これは別のカテゴリーに分類されている可能性を意図的に無視している。流行していないはずのインフルエンザの関連死が第9週に突如増えたことや合併症で亡くなった方のカテゴリーは「肺炎」ではないはずである。カテゴリーを別にしてしまえば、現実をまやかし切れる。

また、小池都知事のオリンピックを前提にした感染予測数の「使用法」には、合理性と一貫性がない。Covid-19は忖度も操作もしない。するのは人間である。だれが数字の忖度と操作をしているのか。消去法で観ていけば、東京都・官邸・厚労省・専門家会議の4者しか残らない。

3/31-4/1にかけて行われたLINEの第一回全国調査の結果も、その一部しか公表されていない。これを実施しているのは厚労省のクラスター対策班である。専門家会議のメンバーも加わっている。ここで行われた調査は、予防のために行っていることと、現在の体調について、おもに尋ねている。前者のデータは公開されているが後者は非公開になっている。前者では、テレワークを実施しているのが5.6%という衝撃的な数字が出ている。ここには、テレワークという労働形態が、一部の大企業だけが実施可能で99.7%を占める中小企業は難しいのではないかという仮説を検証してみるべきことが示唆されている。

問題は、現在の体調についてのデータが未公開である点で、この質問は、感染暗数の推計や不顕性の患者の推計に、他のデータを組み合わせて行うべく設計されたはずである。たんに、大まかに体調不良者数を把握するためだけに税金を投入して行ったとしたら、逆の意味で問題ではないか。この後者のデータを早急に公開すべきである。

第一回の調査は1週間前の調査であり、通常上がってくる数字よりも1週間早い。第二回の調査も集計だけならもうできていても不思議ではない。この二つのデータの推計値に影響されて緊急事態宣言を決めた可能性もありえる。

都合よくオリンピック延期決定後に感染者が増えるような忖度ウイルスなどこの世に存在しない。LINE調査のデータの公表や他のカテゴリーへの死者数のカウント可能性など、透明化すべき点は多い。この作業を怠れば、東京都・官邸・厚労省・専門家会議の4者は、「結果的」に、現実ではなく「一つのお話」を協働で提示してしまっている可能性がある。そうだとすれば、その責任は、当然この4者にある。









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一日一句(2445)







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