verse, prose, and translation
Delfini Workshop
蕪村の俳句(121)
2016-03-26 / 蕪村
■旧暦2月18日、土曜日、晴れ、春寒。ライトダウンがまだ必要。
平成の3怪人、ホリエモン、佐村河内守、乙武洋匡の3人に注目している。ホリエモンは、グローバリゼーション=新自由主義の今後の動向を示す人物として。彼は宇宙開発に突き進んでいる。AI技術や原子力技術の地球外「平和利用」の可能性、物理学の新知見、ナノテクや遺伝子工学など、宇宙開発促進の科学技術的な条件が整ってきている。もう10年もすれば、この分野は劇的に変わるのではないか。今後、グローバリゼーションは、間違いなく、宇宙へ進出するだろう。それは新しい植民地主義の誕生を意味している。
佐村河内守氏は、森達也監督の「FAKE」が6月4日にユーロスペースほかで公開される。佐村河内氏は、ただのペテン師ではなく、存在の使用価値よりも、交換価値が格段に優越した、高度情報化社会・高度消費社会を象徴する人物である。いまも、耳の不自由な人物を演じるこの人物のその後の行方は、そのまま現存社会の行方と重なる。
乙武洋匡氏には、ある種の危惧の念を持っている。2005年10月に、障害者自立支援法を、障害者の多くの反対の声を押し切って強行に成立させ、しかも、現在、人権を制限し国家の権限を強化する憲法改正案を掲げるような政党から、出馬しようとすること自体、この人の政界進出の目的が、自民党議員の地位、つまり権力そのものにあることは明らかであり、欲望をコントロールできない人物が、権力をどう使用するかは、火を見るより明らかであるから。
☆
時鳥棺をつかむ雲間より
句帳(落日庵 句集) 明和7年
■時鳥の声は、あまり聞いたことがない。聞いているのかもしれないが、それと認識したことがない。Youtubeで検索すると、こんな感じらしい。イメージとしては、もっと切迫した鳴き声の感じを持っていたが、これを聴く限り、どこか鶯に似ている。人間社会と時鳥の関わりは古く、万葉集には150首も、時鳥を詠んだ歌があるという。
この句、時鳥の負の面を表している。普通、和歌では、さわやかなプラスのイメージで詠まれるこの鳥を、たとえば、時鳥鳴きつる方をながむればただ有明の月ぞ残れる(藤原実定)、俳諧になると、鳴き方を不吉に転じて、冥途とこの世を往来する鳥、地獄を住処とする鳥という見方が出てくる。不如帰とや地獄もすみかほととぎす(季吟)、ほととぎす棺に物を書くやらむ(暁台)。この見方の逆転が起きた理由や経緯に関心があるが、時鳥を詠んだ歌の最初期に立ち戻ると、ヒントがあるかもしれない。また、中国の文献も影響しているのだろう。この鳥の名称の漢字の多さにも、その両面性は現れている。
さわやかな時鳥もいいが、根の国や地獄からからやってきた時鳥も、とても面白い。
蕪村句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫) | |
クリエーター情報なし | |
角川学芸出版 |
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