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蕪村の俳句(117)




■旧暦2月7日、火曜日、晴れ、春日。

午後から、近所の「埼玉文学館」で、詩人の野村喜和夫さん主宰の「午後二時の会」へはじめて参加。みなさん、とても熱心で、よい刺激になりました。3時間以上、詩について考える幸福な時間が流れた。



沓おとす音のみ雨の椿かな

明和7年 落日庵



■この句は、画賛であり、絵のテーマも張良と決まっている。句の背景を知り張良のことを知ると、「沓おとす音」が伝説の一部であることに気がつくが、それを知らずに読むと、蕪村の時代の「沓」という言葉にやや違和感を持つが、沓の落ちる硬い音が聞こえてくるような気がする。それは措辞「のみ」の効果が大きい。よく読むと、春雨の音もしているはずだが、それは、「のみ」の効果で後退している。代わって、雨の椿の白と葉の深緑がくっきりと浮かんでくる。椿は、赤でもピンクでもいいかもしれないが、白と言ったのは、沓の音の硬いイメージが、白を呼び起こすからであり、深緑と白の対比が、山に残る雪を思わせ、響きの奥行きを暗示するからである。



蕪村句集 現代語訳付き     (角川ソフィア文庫)
クリエーター情報なし
角川学芸出版









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一日一句(1431)







葉にかかる雨の光の椿かな






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