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飴山實を読む(158)

■旧暦2月6日、日曜日、春分の日

(写真)寒緋桜(上野公園)

昨日は、長谷川等伯展に行く。40分並んで、2時間、人だかりの中を観て、博物館を出たら、へとへとだった。有名な松林図屏風は、東京国立博物館の常設作品なので、何回か観ている。今回も、やはり印象的で、観ていると、画面の中に歩み去って、消えていくような気がする。いや消えてしまいたいような気分になる。ほかに、印象的だったのは、息子久蔵を26歳で失くした直後に描いた釈迦涅槃図で、その巨大さと極彩色に圧倒される。ほかに、芒を大胆にあしらった萩芒図屏風、岩と砕ける波を墨でデフォルメして描き金箔を施した波濤図、端然と座る千利休像などが印象的だった。屏風や襖は権力者の住居や寺院のために描かれたものだが、今で言うスペースデザインを兼ねており、こういう屏風や襖に囲まれて生活すると、そのメンタリティには何かの影響があるだろうなと思わざるを得ない。デジタル処理された複製ではなく、直筆のオーラが空間を満たすのだから。




夕風となりたるころの朴の花
  「俳句文芸」平成八年五月

■これも、夕風が出る時分の朴の花の風情が彷彿として惹かれる。春の夕闇が白い大きな花びらを包む感じが。



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