電脳筆写『 心超臨界 』

水の流れが岩と衝突するところ常に水の流れが勝る
力ではなくその持続性によって
( お釈迦さま )

読むクスリ 《 耳赤の一石——幻庵因碩 》

2024-06-27 | 09-生物・生命・自然
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
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そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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碁の好きな方は、耳赤の一石、というのをご存知だろう。弘化3(1846)年、弱冠18歳の本因坊秀策は幻庵因碩と対戦したが、途中まで圧倒的に幻庵優勢だった。見ていた幻庵の門人たちは、師の勝利を確信した。ところが127手目、本因坊中央に八方にらみの妙手を打つ、形成はたちまち逆転した。この石を見落としていた幻庵、さすがに表情は変えず平静を装っていたが、見る見る耳がまっ赤になったという。心の動揺が耳に出たのである。


◆耳赤の一石

『読むクスリ PART 5』
( 上前淳一郎、文藝春秋 (1989/09)、p238 )

大学を卒業してすぐ東京放送(TBS)のアナウンサーになった宇井美智子さんは、インタビューで会う人たちの仕種や態度に興味を持つうちに、とうとう動作心理研究家として独立することになってしまった。

いまでは人の心理が表情やポーズにどう出るかをテーマに、年間2百回も講演に全国を飛び回るスーパー・ウーマンだ。

     *

碁の好きな方は、耳赤の一石、というのをご存知だろう。

弘化3(1846)年、弱冠18歳の本因坊秀策は幻庵因碩と対戦したが、途中まで圧倒的に幻庵優勢だった。見ていた幻庵の門人たちは、師の勝利を確信した。

ところが127手目、本因坊中央に八方にらみの妙手を打つ、形成はたちまち逆転した。

この石を見落としていた幻庵、さすがに表情は変えず平静を装っていたが、見る見る耳がまっ赤になったという。心の動揺が耳に出たのである。

本因坊が天元の一目上に打った石は、いまも、日本棋院が出している解説書に、「耳赤」として載っている。

宇井さんがアナウンサー時代、有名な女性歌手とインタビューしていて、うっかり、犬猿の仲のライバル歌手の名前を口に出してしまった。都はるみの前で「ミソラ……」といったようなもので、犯してはならないタブーだ。

気が強いことで知られる人だ。これはきっと怒り出す、番組はめちゃめちゃになってしまう、どうしよう、と思った。

しかし女性歌手はそのまま、にこやかに話し続けている。

よかった――ほっとした瞬間、相手の耳が燃え上がるように赤くなっていくことに宇井さんは気づいた。

その急激な色の変化は、茶の間のテレビの前にいる人にもはっきり見て取れたに違いない、といまでも思っている。

大蔵官僚をつとめあげて悠々自適、およそ俗事に関心はなさそうなほど枯れた人物は、宇井さんが「成績」という言葉を口にしたとき、耳を赤くした。

番組を終わったあとで、さりげなく聞いてみて理由がわかった。

元官僚氏は一高、東大のエリート・コースを歩いた人だったが、一高時代成績順に氏名が掲示され、それを父親や友人が見に来るという体験を持っていた。

以後晩年まで、この人は成績にこだわり続け、その言葉を聞くと興奮するようになっていたのだ。

「誰にも心を乱されるキーワードがあり、その心理的動揺はしばしば耳の赤さになって出ます。女性が髪で耳を隠しているのは、うっかり本心を悟られたくないからかも知れません」
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