電脳筆写『 心超臨界 』

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( マルセル・プルースト )

日本史 鎌倉編 《 皇室護持を第一義に考えた六代将軍・義教——渡部昇一 》

2024-06-29 | 04-歴史・文化・社会
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足利幕府は、天皇の地位を左右し、特に義満のときはそれが甚だしかったのである。だから皇室のほうでも当然のこととして義教に次の天皇について誰がよいと思うかと問合せがあった。しかし義教は皇位について口を出すのは畏れ多いとして、いっさいの意見を述べず、後小松上皇におまかせした。そして新帝の後花園(ごはなぞの)天皇の即位の儀式のときは、右大将(うだいしょう)として参加しているし、その後の態度も恭敬(きょうけい)である。


『日本史から見た日本人 鎌倉編』
( 渡部昇一、祥伝社 (2000/02)、p240 )
3章 室町幕府――日本的美意識の成立
――政治的天才・義満(よしみつ)と政治的孤立者・義政(よしまさ)
  の遺(のこ)したもの
(4) “美”のクリエイター・足利義政(よしまさ)の天才

◆皇室護持を第一義に考えた六代将軍・義教(よしのり)

義持のあとはその息子の義量(よしかず)が第五代の将軍になったが、若くして父より早く死んだので、実質上、義持の次の将軍になったのは、義持の8歳年下の義教である。彼は義満の子であるが、兄の義持がいたので僧侶になり、大僧正、天台座主(ざす)に昇り、さらに准三后(じゅさんごう)(三后、つまり太皇太后(たいこうたいごう)、皇太后(こうたいごう)、皇后に准ずる地位)の宣下(せんげ)を受け、仏教界の指導的立場にいた。それが義持の死後、将軍になるため還俗(げんぞく)したのである。35歳のときであった。

天台の僧侶として20数年間修行しただけあって、日本の政治体制についてもよく考えていた。そして将軍の地位を、本来の意味での征夷大将軍として理解し、皇室護持が将軍の使命と思っていたようである。

だから称光(しょうこう)天皇が急死なさって、跡継ぎが未定であったときも、次の天皇の決定にいっさい口を出さなかった。

足利幕府は、天皇の地位を左右し、特に義満のときはそれが甚だしかったのである。だから皇室のほうでも当然のこととして義教に次の天皇について誰がよいと思うかと問合せがあった。

しかし義教は皇位について口を出すのは畏れ多いとして、いっさいの意見を述べず、後小松上皇におまかせした。そして新帝の後花園(ごはなぞの)天皇の即位の儀式のときは、右大将(うだいしょう)として参加しているし、その後の態度も恭敬(きょうけい)である。

また義持が前に述べたようなわけで中断した日明貿易を、財政的理由から再開したときも、父の義満の国書のスタイルには従わなかった。義満は国書に署名するとき、「日本国王臣源」としてあったが、この「臣」の字は屈辱的であるとして除いている。

また、宮中においては男女の風紀が紊(みだ)れていることに立腹し、淫事(いんじ)を行ったものは罰し、部屋割りを変えた。そのほか、武家であれ、公家であれ、女性であれ、徹底的に懲罰したので、当時の人は上下共々、この将軍を恐れた。

この点では義教は足利将軍のうちで、最も権威があったと言いうるであろう。このようにして、義満の子供である義持・義教の二人の将軍は、親とはちょうど反対に、尊皇であり、国家主義的であり、武家的であったのである。
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