電脳筆写『 心超臨界 』

想像することがすべてであり
知ることは何の価値もない
( アナトール・フランセ )

東京裁判はインチキ 《 原爆使用への痛烈な皮肉――渡部昇一 》

2024-06-30 | 05-真相・背景・経緯
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


第1次大戦時のドイツ皇帝ウイルヘルム2世はオーストリア皇帝に宛てた手紙で「この戦争を早く終わらせるためには、国民を殺してもいいし、民家を略奪してもいい。とにかく戦争を早く終えたほうがいい」と書いたとされるが、〈みずから指令した残忍な方法を正当化するために、ドイツ皇帝が述べたといわれている言葉と、第2次大戦後これらの非人道的な爆撃を正当化するために、現在唱えられている言葉との間には、さして差異があるとは本官は考えられないのである〉。


『「パル判決書」の真実』
( 渡部昇一、PHP研究所 (2008/8/23)、p60 )
第三章 隷属に抗する戦争

※ブログ注:パル判事の主張と見解については〈 〉でくくり青字で表記した。

◆原爆使用への痛烈な皮肉

さらにパルは、〈国際生活上広く行われている「人道の観念の絶えざる拡大」〉という主張に対して、〈すくなくとも第2次大戦前においては、列強はなんら、かような徴候を示さなかった〉と述べ、第2次世界大戦前に日本が「人道の観念の拡大」を訴えた折の列強の反応を提示している。

それについては、国際連盟設立のための決議の起案委員会の会合において起こったことを、一例としてあげればよい。すなわち日本代表の牧野男爵が、連盟の基本的原則として、各国民平等の宣言をなすよう決議案を提出したさいに起った

具体的にいえば、イギリスのロバート・セシル卿は、牧野伸顕の宣言が論争の的になりやすく「英帝国内において、きわめて由々しい問題を惹き起こす」として反対し、アメリカのウィルソン大統領もセシル卿に同調し不採択となったのである。

そのとき、牧野は「各国にもいろいろ事情があるだろうから、すぐにやれというわけではない。理想として考えてほしい」というようなことをいった。それでも、イギリス、アメリカは受け入れなかった。

現在の日本では西欧諸国がつくりあげた「植民地がどういうものだったか、わからない人が少なくないかもしれないが、白人が主人で、ほかの人たちは奴隷に準ずる存在と考えればいいだろう。パルはイギリスの植民地だったインドから来ているだけに、かつて人道の提案を否定した国々が、人道の罪で日本を裁くのはおかしいのではないか、ということを間接的に指摘したのだろう。

また、ニュルンベルク裁判の最終論告において、〈一国家が、他国家の征服支配の準備をなすことは、最悪の犯罪である〉とジャクソン主任検事がいったことを取り上げ、〈現在ではこれがそのとおりであるかもしれない。しかし第2次大戦前には、いやしくも強国として、かような企画ないし準備をなしたという汚点を持たない国はなかった〉とパルは指摘する。

ただし、それは〈強国がすべて犯罪的な生活を送っていたということではなくて、第2次世界大戦前には、国際社会はまだ上述のような汚点を犯罪とするほど、発展をとげていなかったと考えたという意味である〉のだともいう。

「他国家の征服支配の準備」は、どの国もやっていたではないかとするパルの意見に、私が付け加えるとすれば、普通の民家まで破壊する準備を手掛けたのは、イギリスとアメリカだけ、という点がある。日本やドイツは爆撃機が双発――エンジンが2つ――だった。したがって、載せる爆弾の数も限られ、攻撃の対象はだいたい軍事施設だった。ところが、アメリカとイギリスは戦前から4発――エンジンが4つ――爆撃機を開発していた。4発機襲はその典型例だが、そのような大量無差別殺戮兵器を準備したほうが、準備しなかったほうを裁いているのはおかしいといわざるをえない。

無差別殺戮ということでは、原子爆弾の使用についても、パルは言及している。原爆は、戦争を早い段階で終わらせるために使ったとアメリカは主張した。しかし、パルはこれに疑念を呈し、第1次大戦時のドイツ皇帝ウイルヘルム2世はオーストリア皇帝に宛てた手紙で「この戦争を早く終わらせるためには、国民を殺してもいいし、民家を略奪してもいい。とにかく戦争を早く終えたほうがいい」と書いたとされるが、〈みずから指令した残忍な方法を正当化するために、ドイツ皇帝が述べたといわれている言葉と、第2次大戦後これらの非人道的な爆撃を正当化するために、現在唱えられている言葉との間には、さして差異があるとは本官は考えられないのである〉。

原爆を落とした側の主張はウイルヘルム2世と同じではないか、というのだから、これは痛烈な皮肉である。

原爆を落とされた広島、長崎も、そして大空襲を受けた東京はじめ日本各地の諸都市も、まさに「ホロコーステッド・シティ」であった。広島も長崎も東京も、1日で何万もの人間が殺されたのである。早く終わらせるためなら何をしてもいいなどと正当化できるものではけっしてない。

何をしてもいいのなら、毒ガスを使ってもよかったのか。そう問うと、誰もがギョッとする。なぜか、第1に「国際法で禁止されている毒ガスの使用はいけない」という通念が成立していたことがある。もう1つの理由として私が考えたのは、日本が毒ガスを保有していたことだ。ダクト(風導管)が張り巡らされている軍艦に、毒ガスを載せた特攻機が体当たりすれば、船が沈まなくても乗組員は全員死ぬ。アメリカが毒ガスを使えば、日本にも使う名分を与えてしまう。それが怖かったのではないか、つまり、毒ガス使用には「抑止力」が働いていたのだ。

ここは、いま日本が直面する北朝鮮や中国の核の危機を考えるうえでも、示唆に富む話である。冷戦のころにソ連が中距離核ミサイルSS20を配置したことがあった。これに対抗して西ヨーロッパ諸国はアメリカのパーシングIIミサイルを配置しようとした。その際、イギリスの議会で「ミサイルを配置したらイギリスもやられる恐れがある」という議論が出た。これに対して、サッチャー首相は「日本は核を持っていなかったけれども、核でやられた」と応じ、ソ連に対抗する核兵器を保有すれば抑止できるといった。西ヨーロッパが「抑止力」を有した結果、ソ連も相互にミサイルを撤去することに同意し、西ヨーロッパで核戦争の危機が一応は去ったのである。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« WGIP 《 巧妙な四つの占領政... | トップ | 悪魔の思想 《 近代日本人、... »
最新の画像もっと見る

05-真相・背景・経緯」カテゴリの最新記事