電脳筆写『 心超臨界 』

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( マルセル・プルースト )

歴史を裁く愚かさ 《 アメリカは焦りを感じ始めている――西尾幹二 》

2024-06-29 | 04-歴史・文化・社会
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アメリカによる原爆投下や一般市民の殺傷を目的とした空襲といった「戦争犯罪」について、今までは議論することすらできなかった。ところが、東京空襲まではまだ国際的に問題にされていないまでも、少なくとも広島の原爆ドームはアウシュヴィッツと同一視されて世界遺産に認定された。これは単に一部の人が言っているのではなく、世界史の新しい歴史の記録として、戦後初めて国連という場でアメリカの絶対正義にある種の疑問が突きつけられたという出来事といっていい。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p205 )
第4章 日本人よ、知的に翻弄されるな
2 反日歴史観に包囲されている日本

◆アメリカは焦りを感じ始めている

冷戦崩壊後はっきり変化してきたものに、例えば原子爆弾に対する認識の問題がひとつある。原子爆弾が実際に世界の平和の維持に寄与していたバランス・オブ・パワーの時代には、その当否について政治的にも道徳的にも議論することが事実上できなかった。ところが、一昨年、1995年に広島市長は「原爆投下は戦争犯罪であった」と初めて公言した。これは冷戦崩壊後の変化の顕著な例の一つである。アメリカにおいてもワシントンのスミソニアン博物館が、原爆を投下した爆撃機「エノラ・ゲイ」その他投下の当否を問う資料の展示を計画したところ、在郷軍人会などからの強硬な反対にあって、大幅に展示を縮小せざるを得ないという問題が起こった。自分たちは絶対の正義と善意の勢力だと信じる、性懲りもないアメリカ型夜郎自大を前提にしているこの国においては、一部の自己否定の議論の存在は許容するけれども、自国の全面的自己否定を認めることは決してしない。

ところがここにきて、広島の原爆ドームとアウシュヴィッツの施設がともに世界遺産に指定されるということになった。アメリカは原爆ドームの指定には最後まで反対の姿勢を示したが、国際決定を受け、内心痛憤やる方ない思いがあったであろう。アウシュヴィッツこそ自分たちが叩き潰した「人類に対する犯罪」の象徴である。そのアウシュヴィッツと自分たちが焼き払ったヒロシマが同列に並べられたわけであるから、これほどプライドが傷つく問題はない。

原爆投下のみならず、昭和19年10月頃に日本が本土上空の制空権を失って以来、翌20年3月10日の東京大空襲をはじめ日本全土の大都市は軒並み無差別爆撃を受けた。アメリカは日本の軍隊と戦ったのではなくて、一般市民を殺傷する目的で絨毯爆撃を敢行した。いってみれば日本列島全体をゲルニカの巷と化したに等しいわけだが、スペインでの3千人の市民殺傷に対して強い怒りの声を挙げた米国市民が、70万人から80万人の無抵抗市民を上空からほとんど勝手気ままに殺害した自国の行為に対しては道徳的にはほとんど反応しなかった。

アメリカによる原爆投下や一般市民の殺傷を目的とした空襲といった「戦争犯罪」について、今までは議論することすらできなかった。ところが、東京空襲まではまだ国際的に問題にされていないまでも、少なくとも広島の原爆ドームはアウシュヴィッツと同一視されて世界遺産に認定された。これは単に一部の人が言っているのではなく、世界史の新しい歴史の記録として、戦後初めて国連という場でアメリカの絶対正義にある種の疑問が突きつけられたという出来事といっていい。

実はアメリカにとってこのことは本当にショックではないかと思う。しかしそれでも、たとえ何があっても、アメリカ国民は自己の正義を不正と認定するには至らないであろう。アメリカという国家が崩壊する日まで、あるいは非常に弱小な国になる日まで、アメリカは自分の神話を押し通すであろう。

しかし他方、原爆投下が正義であったという歴史観は日本を滅ぼす考え方である。その単なる「アメリカの正義」を、自己防衛のためにも日本は50年間無言のうちに受け入れざるをえなかった。それが今、大きく揺らぎ始めている。なにかが変わり始めている。アメリカはある意味で焦りを感じ始めているのかもしれない。
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