当時東郷は巡洋艦「浪速(なにわ)」の艦長で、まだ大佐だった。宣戦布告前だったが、朝鮮沖ですでに清国海軍と渡り合っていた浪速は、そこに、大型汽船を発見する。マストにはイギリス国旗が掲げられているが、よくよく見ると清国陸軍の兵隊が乗っているのがわかった。英国汽船高陞(こうしょう)号で、清国が陸兵輸送のために使用しようとしていたものだ。そこで東郷はただちに英国人船長に対して下船を命じた。 . . . 本文を読む
ところが、幸田露伴がこれに疑問をはさんだ。韓信は股をくぐったけれども、高祖がその立場にあったら果たしてくぐっていたかどうか――というわけだ。そして露伴は、高祖ならくぐらなかっただろうというのである。高祖は漢を興した本当のトップであり、一方、韓信は偉い武将にはなったもののそれ止まりで、結局高祖の家来にすぎない。本当のトップに立つ人間は、このような恥辱には耐え得ないはずである。だから高祖は人の股はくぐれはしないというのである。 . . . 本文を読む
1948年の大統領選の時には周りからはもうダメだろうと思われていた。何せ、当時民主党政権が20年近くも続いていて、そろそろ国民も飽きていたし、そのうえ共和党からはニューヨーク州知事のトーマス・デューイという強力な対立候補が出ていた。世論調査などでもデューイの当選はほぼ確実視されていた。こんなわけで、トルーマン陣営は一向に気勢が上がらない状態だったのである。 . . . 本文を読む
多くの偉人は、母の影響を強く受けて育つ。ユージン・スミスは、「カントリー・ドクター」や、「慈悲のひと シュバイツァー」、「水俣」を撮ったフォトジャーナリストとして広く知られている。そのユージンに写真の道をひらいたのは、アメリカ・インディアン、ポタワトミ族の血を引く母のネティだった。 . . . 本文を読む
企業ブランドとは人々がその会社に抱くイメージを決定づける無形の個性である。企業ブランドを磨けば、顧客、従業員、株主すべての価値を高める経営、すなわち「トレードオン(共栄)」の経営が実現するという。その結果、「社員が沸き立つ組織」を構築することができる。では、高い企業ブランドを持つ会社というのは、どういう会社だろうか。 . . . 本文を読む
「精工舎の時計が7時をお知らせいたします」。1953年8月28日、日本テレビの時報と同時にテレビCMが始まる。「広告の神髄は人間の心を読むこと」。CMは、宣伝効果を最大限に高めるため、世の中の流れに敏感になっていった。高度成長が終盤にさしかかった70年の「モーレツからビューティフルへ」、バブル期では「24時間戦えますか」などが有名だ。しかし、テレビ広告需要は90年代をピークにここ数年は頭打ち。この間にネット広告が急成長しているという。 . . . 本文を読む
GHQの忠実なる弟子たちは娯楽を通しても洗脳を図っていて、私たちがそれに気づかないことは少なくありません。その一例が映画の「フーテンの寅さん」。あれは娯楽としてみんなが観ています。私も半分は娯楽で観るけれども、ところどころに「洗脳情報」が埋め込まれているのです。 . . . 本文を読む
しばしば、米国には「ストロングジャパンポリシー派」と「ウィークジャパンポリシー派」がいると語る論者は多い。しかし「ストロングジャパンポリシー派」の中で誰が、日本がアメリカと同等以上に強くなることを望んでいるのか。あくまで米国の世界戦略に忠実に貢献する「猟犬」を求めているだけである。
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一つは、この不況もなだらかに起きていれば、微調整が可能であった。洪水が大氾濫にならずにすんだ。それなのに、微調整ができないような、いわば崖(がけ)から突き落とすような劇的な不景気にしてしまった奴、つまり張本人がいるということです。それをやってのけたのが、当時、大蔵省銀行局長であった土田正顕(つちだまさあき)なんです。 . . . 本文を読む
日本での新型コロナウイルス感染の拡大は、安倍政権が中国の反発を恐れて中国からの入国者を規制しなかったことが主要な原因だとする見解が米側で広まってきた。米国など多数の諸国が中国からの直接の入国を全面禁止しているが、日本は一部の省からの入国規制だけで、防疫よりも政治を優先した結果だとする辛辣(しんらつ)な見方である。 . . . 本文を読む
この上海事件で蒋介石が狙ったのは、「日本がシナを蹂躙(じゅうりん)している」というイメージを作り出し、国際世論の同情を集めようということであった。そして、あわよくば一緒に戦ってくれる第三国が出てくれないかとも考えていた。
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作曲家のすぎやまこういち氏やジャーナリストの櫻井よしこ氏ら有識者でつくる「歴史事実委員会」は6日、米ニュージャージー州の地元紙「スターレッジャー」(約37万部)に4日付で慰安婦問題に関する意見広告を掲載したと発表した。日本軍による強制連行を裏付ける資料はなく、発見された公文書によれば強制募集や誘拐を禁じていたと訴えている。 . . . 本文を読む
この澎湃(ほうはい)たる気運が感知されないぐらい、寄る年波のせいで坂本義和もついに呆(ぼ)けてきたのでしょうか。いや、そんな失礼な言い草は謹んで撤回いたしましょう。坂本義和のいつに変わらぬ聖なる使命は、日本人をひたすら貶めて惨めに見せることだけのようです。それゆえ、要するに、あれも無い、これも足らんと、日本社会は蒙昧(もうまい)であると罵ればそれでよいんですね。その口実として「人権意識」だの「市民社会の根強さ」など、はっきりと比較して証明することのできない曖昧な旗印をふりまわします。 . . . 本文を読む
2年ほど前からドイツの新聞に、東京発特電として「従軍慰安婦」をめぐる記事がのるようになった。しかも公然と日本を揶揄(やゆ)愚弄する言葉が目につくようになった。こともあろうにナチ犯罪を歴史に抱えるあのドイツからである。以来私はなんともいいようのなく不可解、不愉快で、背後から暴漢に襲われかかっているのに、それに気がつかない迂闊なぼんやり人間のような、うすら寒くなる不安にも陥っている。 . . . 本文を読む