電脳筆写『 心超臨界 』

現存する良品はすべて創造力の産物である
( ジョン・スチュアート・ミル )

かけがえのない家族 《 千代大海の親孝行——渡部昇一 》

2024-06-29 | 06-愛・家族・幸福
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


『人の上に立つ人になれ』
( 渡部昇一、三笠書房、p150 )

◆千代大海の親孝行

テレビや新聞の報道によると、千代大海は角界に入る前のまだ少年時代、相当なワルだったという。頭に剃り込みを入れ、暴走族にも入っていたようだし、ケンカもしょっちゅうやっていたという。

そんな少年が角界という厳しい世界に身を投じ、あれよあれよという間に大関にまで上りつめた時、かれは、マスコミの質問に答えて「とにかく、親孝行がしたかった」という言葉をもらしている。その一心で頑張ってきたというのである。

親孝行などという言葉は、ほとんど死語に近くなっているのではないかとさえ思える昨今である。そんな言葉がマスコミを通じて流れてくるなど、思いもしなかった。だからこそ、千代大海の言葉はある意味では新鮮にさえ聞こえたのである。

(中略)

では、親孝行とはいったい何なのだろうか。

出世することなのか、あるいは大きな手柄を立てることなのか。もちろん、それらは結果的には親孝行になるだろう。千代大海を見るまでもない。いや、もっともっと親孝行な人は世の中にいっぱいいる。

だが、成功や手柄、出世という観念を最初から頭に描いていると、親孝行というのがとてつもなく遠くて、しち面倒なことのように思えてしまう。

親孝行とはそういう大げさなものではない。もっと単純で、簡単なものだ。

一言でいえば、「親を喜ばせたい」ということである。これは、人間としてはいたく当然で、自然な感情である。千代大海が考えていた親孝行も、この単純な「親を喜ばせたい」という一心だけだったのではないだろうか。

このことは、ハマトン(イギリスの画家・著述家。著書に『知的生活』〔渡部訳・三笠書房刊〕などがある)の観察からもいえることだ。ハマトンはフランスの非常に貧しい羊飼いの生活について観察し、彼らの間で見られる一つの傾向について指摘している。

ハマトンによれば、貧乏な家庭では、親の権威が高くなる傾向があるという。

どうしてそのようになるのか。非常に貧乏な家は、当然、毎日の食事にも事欠く生活をしている。食べるのにも困るような状況では、親が働いて得たものは、食べ物だろうが何だろうが、すべてみんなで分け合わなければ生きていけない。そうすると当然のことながら、親の存在が非常に大切になってくる。こうして自然に親の権威が高まるというのだ。

私もそう思う。貧しい状況の中で育った子供たちというのは、親のありがたみを骨身にしみて知っているから、いつか親にも腹いっぱい食べさせてやりたい、と考えるのだ。「いつか親を楽にさせてやりたい」「楽にさせて喜ばせてやりたい」――こういった感情が生じるのは、ある意味では当然の成り行きではないだろうか。
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