電脳筆写『 心超臨界 』

真の発見の旅は新しい景色を求めることではなく
新しい視野を持つことにある
( マルセル・プルースト )

かけがえのない家族 《 お前らのことで一番悲しんでいるのは――山口良治 》

2024-07-14 | 06-愛・家族・幸福
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■『小樽龍宮神社「土方歳三慰霊祭祭文」全文
◆村上春樹著『騎士団長殺し』の〈南京城内民間人の死者数40万人は間違いで「34人」だった〉
■超拡散『世界政治の崩壊過程に蘇れ日本政治の根幹とは』
■超拡散『日本の「月面着陸」をライヴ放送しないNHKの電波1本返却させよ◇この国会質疑を視聴しよう⁉️:https://youtube.com/watch?v=apyoi2KTMpA&si=I9x7DoDLgkcfESSc』
■超拡散『移民受入れを推進した安倍晋三総理の妄言』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


◆お前らのことで一番悲しんでいるのは

『安岡正篤にみる 指導者の条件』 
( 神渡良平、大和出版、p72 )

「お前らは、やれ男だ、仁義だと粋がっているが、お前らが刑務所に入って誰が一番苦しんでいるか、知っとるのか!」

山口良治監督の大音声が響いた。京都のある刑務所でのことである。

山口良治監督といえば、伏見工高という無名のラグビー部を率いて昭和56年(1981)全国優勝を果たし、『落ちこぼれ軍団の軌跡』やテレビの青春ドラマ「スクール・ウォーズ」のモデルになった監督である。平成5年(1993)、高校選手権大会で再び全国優勝の栄冠に輝き、喜びで男泣きに泣いて、

「信は力なり」

と叫んでおられたので、記憶されている方もあることと思う。

その山口監督が服役囚に泣きながら訴えた。

「おれが受け持っている子にも、父親が刑務所に入っている子がいる。その子は父親が罪を犯して服役していることを、誰にも話ができず悲しみに耐えているんだ。父親を誇りたい年頃にだぞ。お前ら、そのことを考えたことがあるんですか」

山口監督の目が真っ赤になる、大粒の涙が頬を濡らす。それを大きな掌が拭った。

すると、それまで仲間同士でペチャクチャ話をしたり、うつ伏せに寝ていたり、あさってを向いたりして、まったく無視していた服役囚たちが座り直し、真剣に話を聞き出したのだ。

「言いたいことはまだある。お前らは、母親のことを考えたことがあるのか……。息子が罪を犯して刑務所に入った。悲しい、恥ずかしい、世間様に対して申し訳ない、そう思うと、町も歩けない。お前らのことで一番悲しんでいるのは母親だぞ。それなのに母親を泣かせて、お前らはそれでも男といえるのか」

監督の涙声に、場内はシーンとなった。誰の目も壇上の監督に注がれている。

「息子娘にそんな悲しい思いをさせ、母親にそんな辛い思いをさせて、恥ずかしいと思わないか。親爺やお袋を泣かせて、男といえるのか。お前らに本当の男気があるなら、息子や娘、父や母が誇れる男になってみろ」

大の男たちが歯を食いしばって耐えている。涙を見せまいと耐えているけれども、ツツーッと涙が頬を伝う。思い出しているのだ、父や母や妻や子どものことを。

「いいか、ここを無事務めあげたら、おれんとこに挨拶に来い。しっかりした勤め先も必要だろ。一介の体育教師にどれだけのことができるかしらんが、精いっぱい努力はする。いいな約束だぞ」

そう言って山口監督は演壇を下りた。万雷の拍手が起こった。みんな通路に詰めかけ、身を乗り出して握手を求めた。監督はそれに応え、

「頑張れよ、くじけるなよ。人生、これからだ。頑張れ」

と言いながら、講堂を後にしたのだった。
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« こころのチキンスープ 《 少... | トップ | ほんとうの心の力 《 暗示の... »
最新の画像もっと見る

06-愛・家族・幸福」カテゴリの最新記事