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リアルな「岸辺のアルバム」の話>アナザーストーリーズ

2020年07月01日 | TV番組レビュー
 昨夜のNHKBSP「アナザーストーリーズ」で、「多摩川水害と“岸辺のアルバム”」という話をやってました。「岸辺のアルバム」は、もちろん岸部一徳と岸部シロー兄弟の歴史を辿ったものではなく(当たり前)、1977年の山田太一脚本によるドラマの話です。

 このドラマのモチーフは、昭和49年の9月の東京都狛江市を中心とした多摩川水害なのですが、今回の番組ではそのドラマの関係者を中心に、実際の多摩川水害の被害者にも話を聞いたかなり見ごたえのあるものでした。

 ドラマの内容としては、ごく平凡で幸せそうな一家に実は闇があるという話。一軒家を建てたものの、モーレツサラリーマンで家庭を顧みない父親(杉浦直樹)は社命とはいえ実はやばい仕事を手掛けており、優しくて貞淑だと思ってた母親(八千草薫)はいたずら電話をかけてきた男(竹脇無我)と不倫してワッチコンしてしまい、堅物だと思ってた長女(中田喜子)は交際していた外国人に騙され別の男に強姦されて妊娠して中絶、それらのすべてを知ってしまった受験生の長男(国広富之)が思い悩むという、いかに山田太一先生が残酷で変態かというドラマです。

 昨日は、この春に亡くなったそのドラマのプロデューサーのインタビューから始まったのですが、八千草薫さんが演じた母親役は元々岸恵子さんが想定されていたとか。そこをこのプロデューサー氏が猛反対して、当時貞淑なイメージの代表だった八千草さんに依頼したのだとか。この八千草さんは、いたずら電話をかけてきた正体の知れない男と実際に会ってラブホテルでワッチコンしてしまうわけですが、当時はさぞかし衝撃だったことでしょう。

 当時八千草さんは46歳だったそうですが、現在46歳の女優はというと戸田菜穂さん、水野美紀さん、高橋由美子さんなど。当時の46歳は、今よりちょっと大人ですね。結婚する年齢が一般的に早かったこともあるでしょうか。なんにしても、あれが岸恵子さんだったら、いかにも色っぽくて不倫はありだろうという感じで、別のドラマになったような気がしますので、そこは配役のヒットでしょう。とはいえ、この役が誰であれ山田太一先生が変態なのは間違いありません。(意見には個人差があります。)

 そして、この水害のリアルな被害者の取材もあったのですが、実際に流された家は19軒。この原作を執筆するにあたり、山田太一先生はその被害者にも話を聞いたそうです。今回出演してた被害者の家は、あの最終回に出てきた屋根だけ残ってたあれでした。今回出てきたのは、当時の世帯主ではなく当時中3だったという長男で、今は割り切ってインタビューにも答えられるのでしょうが、時折涙ぐんで声が詰まったりしてたので、その苦労は並々ならぬものがあっただろうと。しかも、父親は当時の取材には「私の人生は終わった」と言ってたものの、家族には決して悲壮な姿は見せなかったということですし。

 あのドラマのオープニングシーンでは、実際の多摩川水害の映像も出てきましたが、被害者が裁判を起こして国からの補償を得られるまでには20年近くの年月を要したとか。前述の世帯主のお父さんは水害の時には47歳だったそうで、家を流されてからの20年がどういう日々だったかというのも想像すると辛いものがあり過ぎます。

 あのドラマは当時もサラッと見ましたが、ちゃんと全話見たのは今から15年くらい前。別にうちの妻のところには竹脇無我から電話は来ませんし、藤波辰爾から無我のスカウトも来ませんが(わかる人にはわかります)、もし水害で家を流されるようなことがあれば、確かに持ち出すのは家族のアルバムだったりするかなぁと思ったりします。今の時代には映像が多いので、持ち出すのはDVDだったりするのですが。なんにしても、あのドラマもちゃんと再放送してもらうとありがたいです。結構風吹ジュンが良かったりします。(結局そこ?)

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