今日のひとネタ

日常ふと浮かんだことを思いのままに。更新は基本的に毎日。笑っていただければ幸いです。

エロチック街道と私

2023年10月26日 | 日記・雑記・ただの戯言

 

 市内の図書館は近隣地区の中では蔵書が多く家族でよく行きます。借りられるのは最大10冊までで期間は3週間。つい10冊借りたくなるのは人情ですが、3週間じゃ全部読むのは無理だし、ハードカバーだと持って帰るのも重いので、大体読みたい本を1~2冊、予備で数冊ということで毎回借りる数は適当。

 20年ほど前の事ですが、娘を連れて図書館に行きまずは返却カウンターへ。借りた時の伝票なんて小さくてすぐなくしてしまうし、返す頃には何冊借りてたか忘れてしまうのですが、その時も「多分これで全部だろう」と持って行った次第。

 それで係の人に「これで全部ですよね?」と聞いたところ、画面を見て「あと1冊残ってます。」と。「え、なんでしたっけ?」と聞くと「えっと、『エロチック街道』ですね。」ですと。

 何しろ娘と一緒だし、後ろにも並んでる人がいたので焦りまくった事はいうまでもありません。

 「あ、あのですね、これは筒井康隆の短編集であって、あの人はSF作家だと皆さん思ってるでしょうが、実はパロディも得意分野でありまして『万延元年のラグビー』とか『日本以外全部沈没』とか聞いた事ありませんか? 『恍惚の人』に対して『粗忽の人』も書こうとしたくらい。あ、ああ皆さん、元ネタをご存じないと。どこが面白いかわからんと。ま、それはそれとして、ドイツには『ロマンチック街道』というところがありまして、現地を訪れた日本人にも人気の観光地なわけですがご存じないですか? それで、この『エロチック街道』というのは当然そのパロディであるわけです。え? そうですか、皆さんパロディというものがわからない。ふむ、パクリとはどう違うのだと。オマージュではないかと。インスパイア? ん~、余計な事ばかりいうくせに筒井の事もロマンチック街道もご存じないと。あなた方そんなことで図書館に来る資格がありますか? 教養を身に着けようと図書館に来たのでしょうが、せめて最低限の知識を持ってないとですね…」

と演説を始めるわけにもいかず、「あ、あ、そうですか。すいません…。」とスゴスゴと本を取りに家に帰ったのでした。当時小学生だった娘1号には「お父さん、それってエロ本?」と言われ、散々な経験でした。

 ということで、こういう本は図書館で借りてはならぬ、返却を忘れようものなら自宅に「エロチック街道の件で!」と電話や督促状がくる、本としては面白いので家に置いておかねば、ということで文庫を買いました。

 まあ要するに「ロマンチック街道」を知らん人には「エロチック街道」の意味も通じないということですね。皆さん、勉強しましょうね。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿