先月NHKBSPで特集ドラマとして放送されていました。原作は垣谷美雨さんの同名小説ですが、そちらは読んだことがありません。主人公は長年勤めた会社を定年退職した後、再就職する予定の会社が倒産し仕方なく家にいるわけですが、長年仕事にかまけて妻や子とまともに向き合ってこなかったため家族に冷たくあしらわれ、妻は体調不良で常に不機嫌ですが娘によると「夫源病」だということでやたらと距離を取ろうとし…という話。
実際にこれまで仕事ばっかりしてて子育ては妻にまかせっきり、おまけにぼちぼち定年を迎えるわが身をふりかえってもかなり耳の痛い展開なのですが、今回のドラマの主演はなんとヒロミゴー。
ここ何年かで同じような設定のドラマや映画を見ましたが、ある時は舘ひろし、ある時は草刈正雄と、かっこいい中年男性が定年を迎えるというのは一定のパターンになってるのかもしれません。今回ヒロミゴーは、さすがにドラマなので「ジャパ~ン!」とか「ゴーゴー!」とかはいいませんが、何しろあの人はああいうキャラですのでシリアスな演技にはなりません。もちろん全体がコメディタッチだったので、それを踏まえてのキャスティングなのでしょうが。
それでなぜわざわざこういうドラマを見たかというと、奥さん役が伊藤蘭さんだったので。二時間ドラマとはいえ、テレビでじっくり蘭さんを見られる機会は貴重です。とはいえ、やたらと不機嫌な表情を作っている場面が多かったので、次の機会にはもっと朗らかな役で見たいものです。さらに幼稚園の園長役で濱田マリさんも出てて、私のアイドルが二人も揃ったわけです。ただ、我らのマリちゃんも陰険な役だったのでそれもちょっと。
そういうドラマですがどうだったかというと、ちょっと設定や展開が極端だったので「それではあまりにもお父さんがかわいそうなのでは?」と思いました。なんにもノウハウのない男性に孫である幼児二人の世話をさせ、それもなんの引き継ぎもなく丸投げするというのは任せる方にも問題ありと感じてしまって。この辺は「子育ては会社員より大変だ。」というのを言いたいのでしょうけど、どっちも大変なのは確かだし、いま定年を迎える人の若い頃には男性の育児休暇なんてのは世の中としてもなかったので、そこはヒロミゴーだけを責めればよいというものでないだろうと。(という意見が、既に横暴なのかもしれませんが。)
そして最終盤はサラリーマン時代の経験を駆使して問題を解決する展開だったのですが、そうやってなんでもビジネス上のノウハウや精神論で片づけてしまおうというのがよろしくないんじゃないでしょうか。と、まじめに考えてしまったのですが、まあ所詮は主役がヒロミゴーだからどうでもいいですか。新しいムー一族だと考えればいいので。
こういうドラマだと、本当にさえない定年男を演じられる方でやった場合はどうだろうかと、まず温水洋一さんが浮かんだのですが(失礼)、調べてみたらあの方はまだ58才なので定年まではちょっと早いですね。なかなかの老けっぷりです。さすが。