ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

白木蓮が咲いて

2009年04月06日 | 随筆・短歌
 玄関側の庭に白木蓮が咲き始めました。この地に住んで43年になるのですが、住み着いた頃に義父が玄関前に白木蓮を植えました。可成りの大木になってきて、毎年美しい花を咲かせます。春の花としてとても目立つので、通りがかりの皆さんが良く誉めて下さいます。ご近所の高齢のご夫妻が、亡くなった義父を偲んで『「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」と云いますが、この花を見るたびにお宅のおじいさんを想い出します』とおっしゃり、以来白木蓮が咲くたびに、そのご夫妻の言葉とともに義父を偲ぶようになりました。
 ところがこの白木蓮は、綺麗に咲いた花は三日か四日もすると次々散り始め、庭を汚すのが悩みの種でもあります。綺麗好きの夫は、毎朝の庭掃きを欠かしません。四季を通じて、何かしらの樹木の花や葉が散って、毎朝それを掃くのが生き甲斐でもある夫ですが、白木蓮だけは、掃いても掃いても空から降ってくると嘆きます。茶色に変化した枯れ花は放っては置けず、日に何度も掃いたり拾ったりします。
 庭は私が退職した時、退職記念に良い花木を生かして造園して貰ったものです。玉石を敷いた池と石組み、灯籠と松を配した庭で苔を生やし、剪定は庭師さんにお願いしていますが、空いている部分にプランターを置いたり鉢花を咲かせて、草花や苔を管理するのは私の仕事として楽しんでいます。庭を掃く夫、花の管理をする私と、自然に夫婦二人の分業で、何とか綺麗な庭を保っています。
 不思議な事に義母が亡くなる前の年に、たった一輪、秋になって真っ白な木蓮が咲きました。義母は「何か悪い知らせでなければいいけれど」といっていましたが、一年経たずに義母は他界したのでした。
 今年も白木蓮がきれいな花を付けました。有り難う、おじいさん、おばあさん。私達は家族揃って元気で春を迎えています。

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