ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

バスターミナルの出会い

2023年12月11日 | 随筆
 出会いとは何時も突然で不可思議です。何故この人と巡り会えたのか、偶然は何時も突然ですし、後に「これは神のご配慮なのか」としか思えないことがあります。私一人の思い過ごしかも知れませんが。

 私がこの市の駅前の「バスターミナル」で見知らぬ或る人と出会い、その後の人生が変わったと思えることがありました。こう言う偶然は比較的身近で起きている事のようにも思えなくも無いですが。
 もう何年になるでしょうか。ひょんな事から私は股間節の手術をすることになって、運良くその道の名医と云われる医師に手術をして頂きました。そして無事に現在の健康を取り戻しました。 誰もこの先の人生を察知する特別の能力を持っている訳ではなく、運命に従ってそうなったとしか思えませんが、不思議なことです。
 当時の私は左脚の付け根が少し痛み、歩くのに多少の不都合がありました。気にしていたのでは無いのですが、もし股関節に異常があったら名医として名高いのは○○医師と聞いていました。
 或る日駅前のバスターミナルで、その医師の診察を受けるべく病院へ行くバスの時刻表を眺めていました。発車時刻とバスストップを確認していた時です。「どちらへ行かれるのですか」と声をかけられました。振り返ると50歳位の女性でした。「○○病院です」「ああそれでは私と同じですね。私もこれから行くところです。ここから出ます」と教えて貰いました。
 続けて「私は股関節が悪くて○○医師に診てもらっているのです。股関節の手術をして貰って大変具合が良いです。今日も定期診察に行くところです」と云われたのです。
 その日私は初めて股関節の手術にかけては名医だと聞いていたその医師の診察を受けようとしていたのでした。運良く運んでその日の診察で、その名医という医師に股関節手術をすすめられたのでした。
 結果的に迷わず手術をする事になりました。偶然とは云え信じられないような出来事でした。世の中には様々な奇蹟もあることでしょうけれど、その時のようにスムーズに事が運んだ経験は珍しい事でした。恵まれた運命だったと今もそう思っています。もしあの時あのバスターミナルであの女性に合わなかったら、今はどうなっていたのでしょう。

 もう一つ不思議な出合いが温かい想い出として残っています。それは山口県の乙女峠というところでの出合いです。日本のほぼ真ん中辺りに住んでいる私には、山口県は本州の西の端にあたりますから、遠いところです。でも自然が豊かで穏やかで、道路の側溝に流れる川の水も豊かでしたし、とても良いところでした。 日本の不幸な歴史の中に切支丹弾圧の歴史があります。詳しわけではありませんが、当時暇に任せてNHKの学習講座で「日本史」を学んだりしていましたので、キリスト教の信者が弾圧に遇った不幸な歴史を学んだことがありました。
 私達夫婦はとても旅行好きでしたので、何時でしたか旅行計画に山口県の乙女峠が候補に上がりました。旅行の計画は何時も手作りでしたから、地図と列車の時刻表を眺めて立ててきました。ご縁としか思えないのですが、結果的に当時の切支丹弾圧の勉強になりましたし、山陰地方の豊かな自然と歴史の良い想い出に繋がりました。アルバムから思い出される様々な過去が、愛おしいこのごろです。