ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

極端に綺麗好きな人

2009年06月26日 | 随筆・短歌
 ユーモアのセンスに欠ける私ですが、この辺で一寸面白い話題を提供しようかと思います。私はいわゆる「尻の重い人」で、なかなかスッと行動に移せません。ですから、新聞を読み終わっても直ちに片付けません。テーブルの上に置いたままでも余り気にしないのです。テレビ台の脇に掛ける新聞ラックは私が買って来たのですが、読み終わった新聞をサッとラックに直行させるのは何時も夫です。
 夫はとても綺麗好きな遺伝子を持っています。出した物が置いたままあることを好まず、今読もうと私が出してきた新聞も、一寸うろうろしていると、もうラックの中に片付いています。
 夫は料理は余り得意ではありませんが、片付けが好きで、私が夕食の料理をしていてそろそろ終わりという頃になると、毎日ボールやザルを洗って片付ける仕事を手伝いにキッチンにやって来ます。作ることに夢中の私には有り難いことですが、うっかりすると、今使おうと出したボールやザルを私が気付かぬ内に片付けにかかって、使おうと手を出すと夫が洗剤だらけにしている最中、ということもしばしばです。
 夫が傍にいる時は、特にお酒や酢などを量って容器に入れておく時は「これは捨てないでね」と念を押しておかないと直ぐに捨てられてしまって、「水かと思った」となるのです。すし飯の合わせ酢や、にぎり寿司の時の手水用の酢水は、特に要注意です。もう何回も捨てられて作り直しました。夫もこの頃水の入ったボールは「捨ててもいいか」と聞くようになりましたが。
 食後の洗い物は私が主となって行い、夫は拭いて片付けて呉れます。洗い物が終わる頃になると、サッとガスレンジのゴトクや受け皿が出されます。一寸でも汚れていると気になるタチで、お陰でお勝手の回りは何時もピカピカで、これは私も嬉しいことです。可笑しいのは、洗面所のお掃除です。私が毎回洗剤を付けて、ピカピカに磨いておいても必ず夫が自分で磨かないと気が済まないのです。洗面器とその回りだけというのも不思議ですが、どんなに綺麗にしても毎回繰り返されることで、だからといって私も手抜きは嫌なので、必ず磨きます。
 夫のこの綺麗好きは、夫の母方の遺伝で、従兄の綺麗好きときたらこれはもう度を越していて、庭に咲いている花にも塵払いを掛けたといいますから、さすがの夫もこれには叶いません。四角い部屋は何時も四角に、不要な物を出して置かない、掃除の後の塵は拾って歩くといったように、家の中は何時も片付いています。
 買い物レシートを元に家計簿を付けていると、終わるか終わらないかにもうゴミ箱へ持って行ってくれますが、時にはゴミ箱へ追いかけることもあるのです。何時もテーブルの上には何もない状態が好きなのです。そのテーブルで私が資料をオオバラに広げて調べ事をしたりしますので、「そろそろ片づけたら」とか「夕食の支度は大丈夫か」と自室からわざわざ言いに出て来ますので、私も夕食の支度に取りかかる時刻に合わせて、目覚まし時計を掛けてテーブルに置くことにしています。
 そんなこんなで、私の料理のレシピには何時になったら何をして、何時に何をするかといったメモも書きこんであります。お寿司類、鯛飯、赤飯、おはぎ等時間が掛かったり、複雑な工程のものは、その都度工程を調べて時刻を計算しなくて良いようにしてあるのです。 毎日の料理でも毎回レシピのお世話になるというのは、呆けてきている証拠でもあるのですが便利です。そのレシピファイルがとても気になるらしく、「もう片付けていいか」としょっ中聞かれています。大方は「未だ」という返事になります。
 見えるところはきちんとしていないと気が済まないけれど、見えない押し入れの中に余り気を遣わない夫と、見えるところが少し乱れていてもさして気にならないけれど、見えないタンスの引き出しや押し入れの中はきちんとしていないと気になる私と、二人はまさに割れ鍋に綴じ蓋で、それでどうにか日々を過ごしているのです。
  
一日の日程終へて見る暦十年先を推し量りつつ (2004年作)
ごつき手で暖かき茶をなみなみと注ぐは夫の愛というべし
    (全て実名で某誌に掲載)

2 コメント

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割れ鍋に綴じ蓋 (ひさこ)
2009-06-27 15:27:31
 料理は材料を出し鍋を出し調味料を加え、段々完成していくもの、後片付けは捨てたり汚れを落したり整理したりと始末をするもので、プラスマイナス真逆の作業、ご夫婦の実に絶妙なバランスを感じて、敬服しました。
 割れ鍋に綴じ蓋、という言葉は台所から来ているのでしょうかね。

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お礼 (あずさ)
2009-06-28 21:52:55
 毎回読んで下さって感謝しています。年寄りが思いついたままを書き綴っていますので、恥ずかしい限りです。ご活躍をお祈りしています。
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